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【主張】線状降水帯の予報 半日前発表、早期避難に生かしたい
沖縄気象台は4日、沖縄地方が梅雨入りしたとみられると発表した。気候変動によって豪雨による災害が毎年のように起きている。人命に関わる惨事を防ぐためにも、出水期の警戒を怠らないようにしたい。
気象庁は6月から、豪雨災害を引き起こす線状降水帯について、発生の半日前に予報を出す取り組みを開始する。
昨年には、線状降水帯による大雨が確認された際に「顕著な大雨に関する情報」を出し、豪雨災害への警戒を呼び掛ける制度を創設した。だが、あくまで発生の速報であり事前の予報ではないため、発表時には既に大雨となっていて住民の対応が遅れるケースもあった。
早い段階で危険を予測できれば、単独での避難が困難な障がい者や高齢者など災害弱者の早期避難につなげやすい。地域住民の危機意識を高める意味でもメリットは大きい。
線状降水帯は、海から流れ込む暖かく湿った空気が陸上で積乱雲となり、風に流されながら帯状に連なることで集中豪雨をもたらす。2018年7月の西日本豪雨や、20年7月の熊本豪雨などでも線状降水帯が要因となった。
これまでは、線状降水帯の発生を予測することは困難だったが、民間船舶の協力を得て海上の観測体制を強化するなどのほか、スーパーコンピューターでデータを分析することで予報を可能とした。気象庁によると、対象は「九州北部」など大まかな地域で発表し、当面は広範囲になるが、徐々に地域を絞り、29年度には市町村単位での情報発表をめざすという。
公明党は、線状降水帯の予測精度の向上を強力に推進。国が21年度から取り組む防災・減災・国土強靱化に関する「5か年加速化対策」に盛り込まれた。観測技術の開発と一層の予測精度の向上に努めるべきだ。
言うまでもなく、防災に関する情報はこれだけに限らない。従来の大雨・洪水警報などのほか、自治体が出す避難情報と関連付け、各自が適切な避難行動につなげることが最も重要だ。