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子を失った家族のケア
行政の配慮・支援 充実へ
厚労省 自治体向けに手引を作成
佐藤副大臣(中央)に要望書を提出する大竹(左から2人目)、遠藤(同3人目)両共同代表と、山本(香)(左端)、伊佐(右端)の両氏ら=2月8日 厚労省
流産や死産、人工妊娠中絶、病気、事故などで子どもを亡くした家族へのグリーフケア(悲しみを癒やすケア)を巡って、自治体の担当者が当事者に配慮した対応を取る上で参考となる手引が完成した。厚生労働省の調査研究事業として民間企業が作成し、同省が今月8日、都道府県などに通知した。公明党と関係団体が推進した。
手引では、子どもを亡くした家族への配慮や支援を紹介。具体的には▽死産届や死亡届の情報を担当課で共有し、子どもが育っていることを前提とした母子保健サービスの連絡を停止する▽子どもの死に特化した相談窓口を設置する▽同じ経験をした自助グループを早期に紹介する――といったことを要請している。
公明党の山本香苗参院議員、伊佐進一衆院議員らは2月、流産・死産経験者を支援する任意団体「周産期グリーフケアはちどりプロジェクト」の大竹麻美、遠藤佑子の両共同代表と共に、佐藤英道厚労副大臣(公明党)に対して、同団体による当事者への調査の報告書と、行政の対応充実を求める要望書を提出していた。
遠藤共同代表は「私たちの声を聴き、動いてくれた公明党に感謝している。手引が活用され、グリーフケアが広がればうれしい」と述べている。
流産・死産経験者への対応、改善を
山本(香)氏
21日の参院厚労委員会では山本氏が、流産・死産経験者への支援充実に向けて、経験者の声を関係者の間で共有することなどを求めた。また、妊娠12週以降の流産・死産も支給対象である出産育児一時金を巡って、申請書に子どもの氏名欄があることで、つらい思いをする当事者がいると訴え、配慮を要請した。
厚労省側は「指摘を踏まえ、全国健康保険協会(協会けんぽ)では来年1月から氏名欄を削除する予定だ」と明言。健保組合に対しても、配慮に関する事務連絡を発出する考えを示した。