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【主張】まん延防止解除 警戒怠らず社会経済活動の回復を
新型コロナの感染「第6波」に対し、18都道府県に適用されていた「まん延防止等重点措置」が22日、約2カ月半ぶりに全面解除された。
国民一人一人の感染防止への取り組みや医療・福祉関係者の努力などで、1日当たりの新規感染者数はピーク時の半分程度まで減少している。
今後は、社会経済活動の回復を進めるとともに、感染再拡大への備えにも万全を期す必要がある。
社会経済活動の回復に向けては、飲食店の営業時間短縮や酒類提供制限の措置を解き、大声を出さないことなどを条件に大規模イベントの収容数を定員まで認める。また、感染防止策が取られた一般事業所では濃厚接触者の特定をしない。いずれも、これまでの知見を踏まえた対応といえよう。
一方、感染再拡大への警戒も怠ってはならない。
新型コロナウイルスは変異しやすく、毒性の強い新たな変異が起きれば感染者数のリバウンドも懸念される。これからの年度末、年度初めに多くの人が動くことにも注意が必要だ。
まずは3回目のワクチン接種を一層加速させたい。高齢者の76.3%が3回目接種を終えているが、接種者の総数は人口の35.1%にとどまっている。
自宅で簡単に服用できる経口治療薬(飲み薬)の普及も欠かせない。既に米国2社の飲み薬が承認され、重症化リスクの高い軽症・中等症患者に無料で届けられている。さらに、承認申請が出ている国産飲み薬の早期実用化も期待したい。
また政府は、今後6カ月間で計3億5000万回分の抗原検査キットを確保する方針を示している。身近な検査体制の強化をしっかり進めるべきだ。
私たち一人一人の感染防止に向けた取り組みも大切だ。マスクの着用や手指消毒、3密の回避、室内の換気などに引き続き努めたい。
岸田文雄首相は解除方針を表明した16日の会見で、「今後しばらく平時への移行期間とし、可能な限り日常生活を取り戻す期間とする」と述べている。
そのためには感染再拡大を抑えることが重要だ。