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コラム「北斗七星」
本紙10日付「がん緩和ケア、なぜ診断時から?」の記事(中川恵一・東京大学大学院特任教授へのインタビュー)に「大いに共感を覚えた」と大学時代の同級生◆1年前、足の付け根にしこりができ、大学病院へ。精密検査を経た後の診断で「残念な結果でした。悪性リンパ腫です」と。いきなりのがん告知。「大変ショックだった。告知から2週間で4キロも体重が減ってしまった。もう少し医師が配慮した言葉で告知し、丁寧に病状を説明してくれていたらこんなに不安にならずに済んだのに」と◆中川教授は記事の中で、「告知を受けた瞬間は、がんとの“長い付き合い”の出発点」として、患者の衝撃を少しでも和らげるよう診断時に適切な緩和ケアが行われることの重要性を指摘している◆厚生労働省は、医療従事者向けに「診断時からの緩和ケア」に関する手引書を取りまとめ、4月以降、現場に配布する。中川教授は資料作成の中心的な役割を担った◆がん対策基本法の改正で、緩和ケアについて「診断の時から適切に提供」との表現が入ったのは2016年のこと。公明党が推進してきた。治癒に含まれる「治す」と「癒やす」の言葉。医療技術の進歩で、ともすると置き去りにされてきた「癒やす」の部分を、医療現場に取り戻す取り組みが進められている。(機)