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【主張】海洋プラごみ削減 国際協定つくる意義大きい
海洋汚染の要因となっているプラスチックごみ(プラごみ)の削減に向けて、国際社会が重要な一歩を踏み出したことを評価したい。
国連環境計画(UNEP)の意思決定機関「国連環境総会(UNEA)」は2日、海洋プラごみ対策の強化に向け、国際条約など法的拘束力のある国際協定を設けることを決定した。国連加盟国が参加する協定の創設を日本などが提案し、全会一致で決議した。
7月以降に政府間交渉委員会で協定の具体的な内容に関する議論を始め、2024年までに結論を得ることをめざす。制定されれば、プラごみに関する初めての国際ルールが設けられることになる。
経済協力開発機構(OECD)が先月に公表した報告書では、世界のプラごみの発生量は00年の1億5600万トンから19年には3億5300万トンと2倍以上に増加。これまでに、河川には1億900万トン、海には3000万トンが蓄積したとみられ、問題は深刻化する一方だ。
特に、波や紫外線により直径5ミリ以下に砕けたマイクロプラスチックは魚介類に蓄積され、食物連鎖による人体への影響も懸念される。海洋プラごみは国境を越えた問題であることから、国際社会が足並みをそろえた取り組みが不可欠であり、国際協定ができる意義は大きい。
今回の決議では、プラごみを削減するため、製造から廃棄まで各段階での包括的な対策の必要性を踏まえ、国際協調の取り組みを重視。国別で行動計画を策定し、定期的に更新することも柱としている。各国には、実効的な行動計画の策定が求められる。
公明党は18年11月、環境相に対して「日本がリーダーシップを発揮し、国際的なプラスチック対策推進を」と提言するなど政府の取り組みを強力に後押ししてきた。決議案の提案国として、国際貢献を果たす意味でも、日本はプラごみ対策で主導的な役割を担うべきだ。
国内では、プラごみの削減とリサイクル促進を目的とした「プラスチック資源循環促進法」が来月に施行される。まずは国内でプラごみ削減の機運を一層高め、資源循環の取り組みを進めていきたい。