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2022年3月11日

【主張】ネット中傷 侮辱罪の厳罰化で根絶めざせ

政府は8日、インターネット上の誹謗中傷を抑止するため、「侮辱罪」を厳罰化することを盛り込んだ刑法などの改正案を閣議決定した。

侮辱罪は公然と人を侮辱した行為に適用され、現行の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」となっている。これを改正案では「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」とする。

現行の法定刑は刑法の中で最も軽い。しかし、ネット上で他人を中傷する行為は犯罪であり、重大な人権侵害にほかならない。法改正により厳罰化することは妥当である。

厳罰化を検討する契機となったのは、テレビ番組に出演していた女性がSNS(会員制交流サイト)で激しい中傷にさらされ自ら命を絶ったことだった。中傷した男性2人は侮辱罪で科料9000円の略式命令を受けたが「軽過ぎる」との批判が上がっていた。

SNSなどでは、他人を中傷する行為が横行している。法務省の人権擁護機関がネット上の人権侵犯事件として対応した件数は、この10年で3倍超となるなど事態は深刻化しており対策強化は急務だ。

公明党は、ネット上の誹謗中傷の根絶に向けて積極的に取り組んできた。

2021年6月には党青年委員会が菅義偉首相(当時)に申し入れた青年政策の提言で、罰則の引き上げを含む対策強化を訴えた。提言は同委が行った政策アンケート「VOICE ACTION(ボイス・アクション=VA)2021」に寄せられた若者の声を踏まえたものだ。

罰則が強化されれば、悪質な書き込みの抑制が期待できよう。SNSやネット掲示板の利用者は、悪意ある投稿が人の人生を大きく変え、重い刑罰が科されることもあると自覚する必要がある。

一方、誹謗中傷と正当な批判を区別する難しさもある。改正案の審議では、「表現の自由」も含め丁寧な議論が求められる。

改正案では、刑事責任が問えなくなる公訴時効も1年から3年に延びる。SNSでの中傷は匿名投稿のため発信者の特定に時間がかかり、時効で被害者が泣き寝入りするケースも多い。被害者救済の面でも改正案の意義は大きい。

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