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コラム「北斗七星」
メーカーや小売店が年度末や決算期に行う棚卸し。在庫品を整理して数や品質を調べることで利益や損の額が分かる。現状を知って戦略を立てるのに欠かせない作業だ◆小売業では、さまざまなロス(損失)が発生する。価格を下げる「値引きロス」や販売期限を過ぎたものを処分する「廃棄ロス」だ。棚卸しをして初めて分かるのが「不明ロス」。万引きや従業員の不正による◆福沢諭吉は人生を商売に例え、“心”の棚卸しを勧めた。過去10年間に、何を損し、何を得たか。“心”の店の取り締まりは行き届いていて、遊興怠惰という悪い奉公人に損をさせられていないか。来年も同様の仕事を続けて大丈夫か。「後日の方針を決めるに必要な事は、心の中の棚卸しにある」と記した(『現代語訳 学問のすすめ』伊藤正雄訳、岩波現代文庫)◆自身の“心”の店はどうだろうか。目標は“棚上げ”されていないか。かつての誇りは“ほこり”に埋もれていないか。知らぬうちに何かに心を奪われ、“不明ロス”が発生しているかもしれない。“棚卸し”で課題を整理すれば、新出発が切れる◆ネットやメディアで政治情報が飛び交う今日。本紙の使命は、公明党と候補者のアピールポイントを整理して示すことだ。「読んですっきり! 公明新聞」をめざします。(直)