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【主張】対ロシア経済制裁 国内への影響に機敏な対応を
ウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、日本は米欧などと足並みをそろえ、経済制裁を強めている。
半導体など先端技術の輸出規制や金融機関を対象とした資産凍結に加え、世界の銀行決済取引網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から一部の銀行を排除することも決めた。
武力による一方的な現状変更は許されぬ暴挙であり、大きな報いを受けるということを、国際社会が結束して示すことが重要だ。
一方、ロシアへの経済制裁に伴う日本国内への影響についても、しっかり注視する必要がある。
特に懸念されるのが物価の上昇だ。
コロナ禍で落ち込んでいた社会経済活動が欧米を中心に急回復し、供給が追い付かない燃料や食料などの価格が世界的に高騰している。
そこに今回の経済制裁の影響が加わる。ロシアは世界有数の原油や天然ガスの生産国だ。経済制裁がエネルギーの供給不足に拍車を掛ける恐れがある。
既に原油価格は、ロシアからの供給が滞る懸念が強まったため、今週は一時、13年半ぶりに1バレル=116ドル台まで上昇した。天然ガスや穀物価格も高値で推移している。
こうした動きを受け、日本でもガソリンや灯油などの値上げが相次いでいる。このため政府は4日、石油元売り会社に支給する補助金の上限額を1リットル当たり5円から25円に引き上げる対策を決定した。これは、公明党が補助金の上限額の大幅な拡充を求めた先月24日の政府への提言を反映したものである。
この対策により、ガソリンの実勢価格が1リットル当たり197円まで上昇しても、店頭価格の全国平均を現在の水準である172円程度に抑えるようにする。財源として、今年度予算の一般予備費から3600億円を投入する。
ただ、ウクライナ情勢は予断を許さない。
公明党の山口那津男代表は3日の中央幹事会で、「国民生活を守る観点から地域の実情や国民の声をつかみ、機敏に政策を実現したい」と強調した。状況の変化に迅速に対応し、暮らしへの影響を最小限に抑える必要がある。