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【主張】北京パラリンピック 平和の大切さ世界に発信を
障がいのあるアスリートによるスポーツの祭典、第13回冬季パラリンピックが、きょう北京で開幕する。10日間にわたって6競技78種目が行われ、約740人の選手が熱戦を繰り広げる。
コロナ禍で練習環境や競技機会の確保に多くの困難が伴ったことは想像に難くない。こうした状況下でも懸命に鍛錬を重ね、4年に1度の大舞台で自身の限界に挑むパラリンピアンに心からエールを送りたい。
日本は、メダル獲得が有望なアルペンスキーやスノーボードなど4競技に選手29人が参加する。目標とするメダル数は掲げられていないが、北京五輪に引き続き日本勢の活躍に期待したい。
パラリンピックは、第2次世界大戦で傷ついた兵士のリハビリの一環として英国で開かれたアーチェリーの大会が起源とされ、共生社会の促進が大きな目的となっている。
パラリンピアンによる真剣勝負は、誰もが個性や能力を発揮し生きがいを持って暮らせる共生社会の重要性について、世界中の人々が認識を深める契機となろう。
パラリンピックの開催を、パラスポーツの普及につなげることも忘れてはならない。
日本障がい者スポーツ協会は昨年10月、組織名を日本パラスポーツ協会に変更した。「パラスポーツ」とは「もう一つのスポーツ」という意味だ。昨年の東京パラリンピックで注目を集めたボッチャのように、障がいの有無にかかわらず楽しめるスポーツの普及は、共生社会の推進に大きな役割を果たすに違いない。
極めて残念でならないのは、ロシアがウクライナに軍事侵攻する中での開催となったことだ。
国際パラリンピック委員会(IPC)は3日、ロシアのウクライナ侵攻を理由に、ロシアおよび同盟国ベラルーシの選手の参加を認めないことを決めた。同委員会は両国選手について、国を代表しない「中立」の立場で参加を認めていたが、さらに厳しい制裁措置となった。
パラリンピックは五輪と同様に平和の祭典である。戦火が暗い影を落とす中だからこそ、平和の大切さを世界に発信する大会となることを強く望みたい。