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難聴児の保護者サポート
不安解消へ支援センター
岐阜県
生まれつき耳が聴こえづらい先天性難聴児は、1000人に1~2人の割合で生まれるという。岐阜県は岐阜大学病院(岐阜市)内に、難聴児支援センターを昨年11月に開設し、子どもの成長に不安を持つ保護者を対象に医療・福祉機関と連携した相談支援を実施している。公明党の澄川寿之県議はこのほど、より効果的な支援に向けた課題を探るため、市内で難聴児を育てる保護者を訪ねた。
早期から療育機関へ橋渡し
支援センターには、毎週火曜日の午前10時~午後4時まで、医師や言語聴覚士の資格を持つ支援員が在室し、電話かメールで予約した保護者と面談する。遠方の保護者には、電話相談や支援員による出張相談も実施。状況に応じて、ろう学校などの療育機関につなげ、その後も継続的に支援するのが特長だ。
昨年11月の開所から今年1月末までに寄せられた相談は32件。子どもが難聴との診断を受け、「これからどうしたらいいのか」と困惑する保護者の相談に対応したり、療育機関につないだりしている。
同センターでは、保護者向け相談会を県内各地で実施。1月20日には恵那市で開き、3月も高山市役所で開催する予定だ。このほか、難聴児が通う県内の学校や保育所の求めに応じて指導や助言を行うとともに、難聴児やその保護者が抱える問題に関する講演会など啓発活動にも取り組む。
県障害福祉課によると、同様の支援センターが病院内に設置されるのは全国で6例目。担当者は「支援を発展させていくため、研究施設の側面を持つ大学病院内にセンターを設置した」と説明。「保護者を支えられる場所にするため、意見や要望を踏まえ、支援を拡充したい」と話す。
「息子の難聴が分かった時は本当にショックでした」――。岐阜市に住む河合見和さんは、生まれつき100デシベル以下が聞こえない重度難聴の遼大君(9)を育てる。
診断した病院の勧めもあり、遼大君は生後半年で市内の療育機関に入園。しかし、周りの子ができることが、重度難聴の遼大君にはできないことが多かった。「この園は遼大に合ってないのでは」と考えた見和さんは、遼大君を市内の県立ろう学校幼児部に転入させた。そこでは、子ども一人一人に合った療育計画を考えてくれ、安心できた。「早く違いが分かったなら」と見和さんは振り返る。
遼大君の父・宏樹さんは「難聴と診断された時に支援センターがあれば、園とろう学校の違いが分かったかもしれない。これから病院や療育機関の先生以外にも話を聴いてくれる人がいれば安心だ」と語る。
澄川県議は「難聴児とその親が希望を持って暮らせるよう、支援の充実を働きかけていきたい」と話している。