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コラム「北斗七星」
雨の日、スーパーへ。入った途端すべった。店員がアッと言いながら手を差し伸べてくれたのが見えたが、脇にあった棚に手が届いたので、なんとかこらえた。でも、店員は転んでしまった。マンガのような構図だが、笑うに笑えない◆スーパーなど小売業では、従業員の転倒事故が深刻だ。4日間以上休業した労働災害の4分の1、年間3万人はすべったり、つまずいたりしての転倒によるもの。うち小売業が5千人超、介護などが4千人を占める(厚生労働省調べ 令和2年)◆普段はすべりにくい床も、雨の日や、商品の水分や油が落ちると、打って変わってツルツルに。また、食品を加工する場所や介護の現場などは、こまかな段差も多く、作業に熱中しているとつまずきやすい。厚労省はじめ関係団体は2015年から「STOP! 転倒災害プロジェクト」を実施しているが、増加の勢いに歯止めがかからないのが現実だ◆転倒事故は働く場だけではない。高齢者で「ころぶ」事故によって救急搬送されたうち、発生場所は自宅が半数以上と圧倒的だ(消費者庁)。暮らしの中に、転倒につながる場所は数多い。すべりやすい所やつまずきやすい所には、すべり止めや手すりを考えてもよいだろう。さて、我が家もどこが危ないかチェックしてみよう。(繁)