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医ケア児・者と家族 安心サポート
センター好評
ワンストップ相談対応
心安まる“居場所”提供
東京・世田谷区
人工呼吸器の使用や経管栄養、たんの吸引などのケアが日常的に必要な医療的ケア児・者(医ケア児・者)とその家族をサポートするため、東京都世田谷区は、区医療的ケア相談支援センター「Hi・na・ta(ひなた)」を昨年8月から開所し、ワンストップでさまざまな相談に応じる一方、気軽に利用できるスペースを開放し、利用者に喜ばれている。区議会公明党(佐藤弘人幹事長)の河村みどり議員は先ごろ、同区在住の吉田さやかさん(仮名)と、医ケア児である娘のかよさん(仮名=8歳)と同センターの事業を巡り、懇談した。
医ケア児・者の相談支援センター開設を喜び合う吉田さん親子(右側2人)と河村議員
同センターの相談事業は、区民に限らず、誰もが無料で利用できる。事業開始からの相談件数は延べ100件を超えており(昨年12月末時点)、担当者によれば、主に保育や教育、親自身の就労などに関する相談が多いという。
スタッフは相談支援専門員や保健師らが担当。入院中や退院後の在宅介護の相談や、受けられる行政サービスの提案など幅広く対応する。在宅での生活計画や災害時に備えた計画などの作成も行い、充実したサポート体制を整えている。
一方、同センターは、おもちゃなどを置いたスペースも開放している。保護者らが医ケア児・者を連れてゆっくり過ごせる、心の安まる“居場所”として喜ばれており、担当者は「特に相談が無くても、気軽に訪れてもらえたら」と話す。
「助けて」の手紙から。公明議員が尽力
このセンター開設を「公明議員が親身になって寄り添い、実現してくれた」と吉田さん親子は語る。
娘のかよさんは、下顎が極端に小さくなる小顎症のため、呼吸障がいがある医ケア児だ。吉田さんは「娘が生まれた当初、医ケア児に対する認識が浅く、情報や仲間がとにかく欲しかった」と振り返る。その中で7年前、同じ境遇の家族と共に「姫と王子の医ケアの会」を結成。月に1回集まって悩みを話し合ったり、メーリングリストを用いて情報を共有したりしていた。
また同団体は「医ケア児へのサポートが足りない。誰でもいいから助けてほしい」と切実な声を記した手紙を区内の多くの議員のもとに届けた。そのときに「話を聞かせてほしい」と、家族らに寄り添ったのが河村議員だった。
河村議員は吉田さんのたくさんの苦労話に耳を傾けた。中でも「役所に相談しても、たらい回しに遭う」との声から、相談機能を充実させる必要性を実感した。
河村議員は2015年の9月定例会で「精神面や体力面からも、医ケア児・者と家庭への支援をすべきだ」と訴えるなど、ワンストップの相談窓口設置をリードした。吉田さんは「医ケア児・者への支援が一歩ずつ進んでいる」と、かよさんと共に喜んだ。