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コラム「北斗七星」
きのう開幕した北京五輪。飛躍を期す日本勢から目が離せない。冬季五輪と言えば、50年前の札幌で、トワ・エ・モワが歌うテーマソング『虹と雪のバラード』を思い出す。♪生まれかわる サッポロの地に きみの名を書く オリンピックと――◆作詞した河邨文一郎氏は、「冬の祭典を待ちあこがれる雪国の庶民の感情を歌い上げること」と依頼され、言葉を紡いだ(自著『人間の星座』)。彼の詩集には「僕はうたう、(中略)人間に新しい火をふきこむために。全身の細胞たち、唱和せよ、いのちのかぎり!」(『物質の真昼』)と。その情熱が『虹と雪~』にも感じられる◆歌詞にある<町ができる 美しい町が>には、「人と人が手をつなぎ、何かを作り出す感動と喜び」を込めた(北海道新聞2004年4月4日付)。『虹と雪のバラード』と題したのは「純白の天地に七色の虹をかかげてはるかな国国をつなぎ、それを庶民の歌としてのバラード(俗謡)としたかったから」(『人間の星座』)◆彼は、札幌五輪で各国の人々の情感に触れて「連帯感に強く結ばれた」としつつ、「この連帯の実感を、これからもどのようにして持続するか」と問うた(同)◆今も各地で紛争や対立が絶えない。一方、コロナ禍は各国の連帯なくして収束は望めない。巡り来た「平和の祭典」、いま再び世界の心をつなぎたい。(三)