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【主張】気象アドバイザー 地域の防災力向上へ周知・活用を
公明党の山口那津男代表は21日の参院代表質問で、自治体の防災対策をサポートする気象防災アドバイザーの活用を一層進めるよう訴えた。
気象防災アドバイザーは、気象庁退職者のほか一定の研修を受けた気象予報士などに対し、気象庁が委嘱する。2017年度に本格的に運用が始まり、昨年12月までに87人に委嘱されている。
東京大学大学院の片田敏孝特任教授は気象防災アドバイザーについて、「高度な知識を持った専門家を自治体に配置する同制度は、地域の防災力を高める上で非常に重要」(23日付本紙)と強調している。
例えば群馬県渋川市では、昨年8月の大雨災害で早期の避難情報の発令を市に助言し、平時には地域防災計画の見直しや市民向けの防災講座に携わり、高い評価を得ているという。
近年、災害が激甚化・頻発化する中、「防災の知見を備えた気象の専門家」である気象防災アドバイザーの役割は重要だ。政府は自治体への周知に努め活用を促してほしい。
課題は、気象防災アドバイザーの活用が一部の自治体にとどまっていることだ。
この点、気象庁が17日、「気象防災アドバイザー推進ネットワーク」を立ち上げたことに注目したい。人材育成や自治体の活用促進が目的だ。岸田文雄首相も同ネットワークの取り組みに力を入れる考えを示している。より多くの自治体で気象防災アドバイザーが活躍できるよう後押ししてもらいたい。
公明党は、気象防災アドバイザーの人材確保や幅広い活用を訴えている。
20年10月の参院代表質問では、山口代表が気象庁の元職員の活用を提案。昨年4月には、党内に地域気象防災推進議員連盟を設立し、地方議員と連携して地域のニーズに応じたアドバイザーの活用を進めている。
山口代表は21日の代表質問で、15日にトンガ沖で発生した大規模噴火に伴い、津波警報・注意報の発出を巡り混乱があったことに触れ、「この教訓を生かし、今後は、こうした事態の予測や防止、避難などについても、気象防災アドバイザーの活用が対策の一助になる」と述べた。重ねて周知・活用を求めたい。