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コラム「北斗七星」
「寒き夜や折れ曲がりたる北斗星」(村上鬼城)。一年を通し最も大気が澄む冬は、美しい星空と出合える好機。“北斗星”は小欄名である北斗七星とも呼ばれる。地上から見ると、真北の目印になる北極星近くで輝く柄杓の形をした七つ星◆いつまでも星空の眺望を守りたい――。その尽力が世界で評価された自治体がある。昨秋、米国に本部を置くNPO法人・国際ダークスカイ協会から、いわば星空版の世界遺産とされる「星空保護区(コミュニティ部門)」認定を岡山県井原市美星町が受けた◆特筆すべきは、自治体単位の活動を評価するコミュニティ部門でアジア初の快挙。美星町(合併前)では、1989年に全国初の光害防止条例を制定。しかし近年、屋外照明が増加するなど、星の郷としての危機感がつのり始めたという◆なかでも国内になかった同部門認定に見合う外灯の開発を企業と連携して進め、上方への光漏れがなく、かつ暖色系の外灯に交換。また光害に関する啓発活動や星空ツアーの体験プログラムも推進した◆本年は産学官民などによる共同事業体で、町名にふさわしい星空環境の保護を軸に、議論が本格化する。そして来年は口径101センチの反射望遠鏡を備えた「美星天文台」開設から30年。世界への情報発信も視野に多面的な取り組みが注目される。(照)