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【主張】地方のデジタル化 課題解決、魅力向上にも一役
経済産業省は、デジタル技術を活用して地方創生を促す「デジタル田園都市国家構想」実現に向け、長期的スケジュールや支援策などを明記したロードマップを今夏までに策定する方針だ。
地域の課題解決や魅力向上を進めて住民の暮らしを支え、地方創生につなげる上で、デジタル技術が果たす役割は大きい。公明党も地方のデジタル化を加速させるよう主張しており、経産省の取り組みを注目したい。
人口減少・少子高齢化という日本が直面する問題は地方ほど深刻だ。医療や教育の提供、交通手段の確保など解決すべき課題は多岐にわたる。
こうした点を踏まえてロードマップには、オンラインによる遠隔医療や遠隔教育、高齢者向けの自動運転移動サービス、物流や災害でのドローン(小型無人機)の活用などが盛り込まれる方向だ。
また、デジタル社会の基盤となる高速・大容量の通信規格「5G」の普及も柱の一つとなる。コロナ禍によるテレワークの促進で地方移住の関心が高まる中、都市から地方への「転職なき移住」を促すためにも欠かせない。
国がロードマップを策定し、これらの施策の実施時期を明示することは、地方創生に取り組む自治体を力強く後押しする意義がある。
さらに、国だけではなく、自治体側にも、地域の課題解決にデジタル技術を積極的に活用する姿勢が求められよう。参考にできる取り組みは少なくない。
例えば、札幌市では、自治会・町内会の活動促進に向けた「リモート会議実施研修会」や「電子回覧板導入モデル事業」を実施することで、コロナ禍でも住民同士の交流が滞ることがないように工夫している。
静岡県藤枝市では、一人暮らしの高齢者の見守りに小型ロボットを貸し出している。このほか、高度な技術を使うのではなく、LINEを通じて自治会情報を住民に効率的に提供する自治体も出てきた。
住民がデジタル化の利便性を身近に感じられるよう努力を重ねていくことは、デジタル活用の新たなアイデアを生むことにもつながるのではないか。