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2022年1月9日

あす成人の日 若者にエール

あす10日は「成人の日」。将来に漠然とした不安を抱えていると言われる現代の若者たちへ、医師の鎌田實氏、女優の中江有里さん、公明党の太田昭宏常任顧問の3氏から、エールを送ってもらいました。

自分を大切にし、1%でいい。誰かのために生きてみよう
医師・作家 鎌田實氏

良い習慣を身に付けることは、若者の特権です。お金も特別な才能もいりません。

僕自身の20代の頃を振り返って、続けて良かったと思うことがあります。大学受験に向けて高校生の頃から、朝4時半に起きて7時半までを勉強の時間に充てていました。受験後も4時半起きが習慣として残り、65歳まで続けました。この朝時間に、小説や詩を読んだり、音楽を聞いたり、文章を書いたり――誰にも邪魔されない自分一人の時間は毎日の活力になりました。一番忙しかった50代の頃に『がんばらない』というベストセラー本を執筆できたのも早起きのおかげです。

もう一つ、若い人たちに伝えたいのは、「相手の身になる」練習をしてほしいということ。相手の身になって生きてきた結果、今の僕の人生があります。大学の医学部を卒業し、同期が大学の医局に残る中、僕は医者がいなくて困っている地方病院に行った。そこで30代で院長となり、健康寿命を伸ばす医療改革を進めました。原発事故が起きた旧ソ連のチェルノブイリの子どもたちへ支援を始めたのも、何か自分にできることはないかと思ったからです。

「相手の身になる」とは、苦しい自己犠牲や周りの“空気”ばかり伺ってビクビクすることとは違います。そこには何かを学び取りたいという向上心があります。

自分を大切にし、1%でいい、誰かのために生きてみる。“利他”と“利己”のバランスのいい大人になってほしいと願っています。

負けを恐れずに。将来はあなたの足元から続く道
作家・女優 中江有里さん

誰も一生のうち将来について何度も考えたり、思い描いたりする。

ぼんやりとしたものから、具体的な職業、住みたい街、一緒にいたい人、続けたい趣味、夢は限りなく広がる。

残念ながら、それらは思い通りにはならない。努力すれば必ず夢がかなうわけでもないのも気づいているはず。人生が勝負だとすれば、多分「負け」てばかりだ。

こんなことを書くと暗い気持ちになるかもしれない。でも「負け」を知らない人は成長しない。

俳優の児玉清さんの著書『負けるのは美しく』には児玉さんの負けることへの美学が説かれている。わたしなりに読解すると、こういうこと。

周囲に自分の意見が通らず、仕方なく妥協する。しかしそれは「負け」である。そこで児玉さんは考えた。

「どうせ負けるなら美しく負けよう」

負け方にその人となりがあらわれる。負けたことのない人はどこにもいない。負けをポジティブに受け入れることで心は落ち着く。

加えて言うなら負けを恐れていたら決して勝つことはできない。夢の実現のために努力し、もしその夢がかなわなかったとしても悲観しないでほしい。夢を持つこと自体、あなたが勝つ可能性を得た証しなのだから。

そして勝ち負けはその瞬間の結果だ。勝負はいつひっくり返るかわからない。繰り返す日々に結果を変える秘訣はある。

奇跡を受け身に待つのではなく、自ら引き起こそう。将来はあなたの足元から続く道。どこへ行くのもあなた次第だ。

現実逃避せず、常に一歩踏み込む努力続ける人に
公明党常任顧問 太田昭宏氏

公明党常任顧問 太田昭宏氏

変化にどう立ち向かうか。これこそが今後を担う若い人に重要だと思います。「竹は節目で伸びていく」と言いますが、変化に逃げず、たじろがず、若く力強いエネルギーで乗り越えていく。そこに太い骨格、人生の節が築かれていきます。その苦楽を共にした共戦の友は、「人生の宝」です。

人生100年時代―。なんと皆さんは、2100年の世界と日本を見ることができます。しかし迎える社会の波は、高く荒い。2050年ですら、予想不可能、視界は深い霧に閉ざされており、変化のスピードは速く、不安定です。既に今、AI、IoT、ロボット、デジタル社会への急進展、地球環境・エネルギー問題、激甚化する大災害や予想される大地震、そして人口減少・少子高齢社会……。私たちの経済、社会、生活、働き方に“激震”ともいう変化をもたらしています。

変化激しき時代を“大変”とするか、多様な挑戦ができて“面白い”とするか。変わる勇気と覚悟、行動力を持った人と組織だけが生き残るとも言われます。昨年のパラリンピックのメッセージは、無理だと諦めないで「Impossible(無理)」ではなく、「I’m possible(私はできる)」。そのことを選手たちは感動的に見せてくれました。激変する社会に、「それは無理」と言いがちな若者ではなく、変化を面白いと感ずる感性とエネルギー溢れる人に。そして現実から逃避せず、常に一歩踏み込む努力を持続する人に――。その若々しい生命力に心から期待し、エールを送ります。

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