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【主張】コロナ急拡大 医療体制の逼迫回避に全力を
新型コロナウイルスの感染が再び急拡大している。感染防止策の強化と、感染者に適切な医療を提供できる体制の整備を急がねばならない。
沖縄県では7日、新たに1400人を超える感染者数が確認され、2日連続で過去最多を更新した。全国的にも驚くべきスピードで広がっており、「第6波に突入した」との指摘も出ている。
政府は7日、感染が拡大している沖縄、広島、山口の3県に「まん延防止等重点措置」の適用を決定した。ただ、ほかにも新規感染者が急増している地域がある。政府は自治体と連携を密にし、重点措置の申請があれば速やかに対応してもらいたい。
感染急拡大の主な要因は、従来のデルタ株よりも感染力が強い新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が各地で相次いだことが考えられる。
重要なことは、医療体制の逼迫を避けることだ。
政府は、自治体の判断で陽性者全員の入院と濃厚接触者の宿泊施設での待機を要請している取り組みを見直し、オミクロン株の感染拡大が確認された地域では、症状に応じて宿泊施設や自宅療養を認めることを決めた。医療機関の負荷を抑えるためである。
課題は自宅療養者への対応だ。安心して自宅療養できるよう、各地の保健所は地域の診療所や薬局と連携し、診療や薬の配送に万全を期してもらいたい。容体悪化時には、速やかに入院できる体制も整備しておくことが求められる。
昨年末には、政府が重症化を防ぐ飲み薬を承認したが、必要な人に迅速に投与できるよう供給・確保に万全を期すべきだ。高い予防効果が確認されているワクチンの3回目接種についても、できる限り前倒しできるよう自治体の取り組みを後押ししてほしい。
急がれるのはオミクロン株に関する詳細な分析だ。驚異的な感染力を持つ一方、重症化するリスクは低いとする複数の研究が報告されている。政府は内外の研究成果を踏まえ、より効果的な感染対策や治療法につなげてほしい。
今のところ、私たちが日常生活の中でできる対策は変わらない。手指消毒やマスク着用の徹底、三密回避、室内の換気などを心掛け、感染リスクを抑える努力を続けたい。