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2022年1月7日

【主張】福島原発処理水 国は風評抑制に総力を挙げよ

東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を巡って、政府は昨年末、風評被害の抑制や事業者支援などに向けた行動計画を策定した。

福島復興を進める上で、風評払拭は最重要課題の一つだ。自民、公明の与党両党による昨年7月の第10次提言で、情報発信や経営継続のためのセーフティーネット構築など、風評対策の強化へ政府一丸となった取り組みを求めてきた理由もそこにある。

処理水について政府は、来年春頃から国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針だ。風評の抑制に総力を挙げるのは当然であり、風評被害が生じた場合を想定し、適切に補償する具体的な体制を整えていくべきである。

行動計画では、今月以降、経済産業省と復興庁などが連携し、安全性の発信を国内外で進める方針を盛り込んだ。

とりわけ重要なのは、国際社会への情報発信だ。中国や韓国が処理水の海洋放出に反発するなど、近隣諸国の懸念は根強い。国際原子力機関(IAEA)など国際機関と緊密に連携し、信頼性と透明性を高める取り組みが肝要だ。

また計画では、風評被害が生じた場合に備え、水産物の一時的な買い取りや保管を支援する基金を3月末までに創設する。2021年度補正予算には関連経費300億円を計上した。風評に関する賠償については、年内に漁業、水産加工・流通業など、業種ごとの賠償基準を策定する。

いずれも、不安を抱く関係者の安心感につなげる上で重要な取り組みだ。賠償基準は、地域の実態に即した内容としなければならない。

政府は、追加すべき点を把握し行動計画を不断に見直していく意向だ。現場の声に向き合う姿勢を徹底し、実効性を高めてもらいたい。一方、原発での不祥事が続いた東電への不信感は、いまだ拭い切れていない。東電は信頼回復へ努力を怠ってはならない。

今年3月には原発事故から11年を迎える。血のにじむような思いで風評払拭に立ち向かい、売り上げを回復してきた漁業者らの思いは切実だ。未来にわずかでも希望を抱き、筆舌に尽くせぬ苦労を一歩ずつ乗り越えてきた方々に報いる取り組みを求めたい。

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