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風疹ワクチンの無料接種 24年度末まで対策継続
42~59歳男性 コロナ受診控え受け
公明が主張、抗体保有率9割めざす
風疹の感染拡大を防ぐため、厚生労働省が42~59歳(1962年4月2日~79年4月1日生まれ)の男性を対象に、2021年度末までの事業として実施する無料の抗体検査と予防接種が、24年度末まで延長される。コロナ禍の受診控えなどで目標に届かない状況を踏まえ、公明党の要請を受けて延長する方針を決めた。
風疹は、妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんが難聴や心疾患などの「先天性風疹症候群」になって生まれることがある。ワクチン接種で感染予防ができるが、まれに抗体ができにくい人もいるため、社会全体で抗体保有率を引き上げ、流行を防ぐ必要がある。
42~59歳の男性は、幼児期などに定期接種の機会がなく、抗体保有率も他の世代と比べて低い。そこで国は、公明党の推進もあり、19年度からの3カ年計画で、この世代の男性の抗体保有率を79.6%から90%に引き上げるため、190万人への予防接種をめざしてきた。対象者は、自治体から配布されたクーポン券で抗体検査を受けることができ、抗体がなかった場合は予防接種を受けられる。
しかし、コロナ禍の受診控えや健康診断の延期などの影響により、昨年10月末時点で接種につながった人は約74万人、抗体保有率は82%にとどまっている。
公明党は、こうした状況を踏まえ、同年8月の厚労相への提言で、風疹対策の継続を要請していた。
「風疹をなくそうの会『hand in hand』」の可児佳代共同代表は「妊娠初期に風疹に感染した母親は、周囲から中絶を勧められ、出産したとしても障がいのあるわが子を思うたび、自分を責め後悔し続ける。コロナの期間は対策が全く進んでいかなかったので、皆さんの力で風疹を排除していきたい」と語っている。
風疹ワクチンに関して、41歳までの男女は幼児期や中学生までに1回または2回の個別接種を受けている。42~59歳女性は、妊婦の感染を防ぐ観点から中学生の時に集団接種が実施された。59歳以上の男女は定期接種の機会がなかったものの、自然感染などにより抗体保有率は90%を超えている。