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コラム「北斗七星」
75年前のきょう12月21日、南海トラフ沿いの潮岬沖を震源とする「昭和南海地震」が発生した。地震に伴う津波が太平洋沿岸に押し寄せ、死者・不明者は高知県、和歌山県、徳島県などで計1443人に上った◆南海地震には周期性がある。文献の記録では、684年以降の約1300年間で9回発生。直近5回は約100年に1回起こっているが、昭和南海地震は規模が比較的小さかったため、次は大きいという予測もある◆「四国官学連携防災・減災協議会」では、次への備えを考えるシンポジウムを開催。静岡県立大の尾池和夫学長は、西日本には地震の「活動期」と「静穏期」があり、阪神・淡路大震災が起きた1995年から始まった活動期が2050年ごろまで続くと解説した◆震災の経験と教訓を未来へ継承するため、優れた防災教育を顕彰する「ぼうさい甲子園」では、和歌山県立和歌山商業高校が本年度のグランプリに。南海トラフ地震を想定した防災・減災活動を地域と連携して進める姿勢が評価された。他の受賞校では新型コロナ対策を踏まえて、ICT(情報通信技術)を活用した活動なども注目された◆防災の取り組みにゴールはない。だからこそ、必要となる知見を工夫しながら学び続けたい。それが、必ず来る“見えない敵”への備えになると信じて。(祐)