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2021年12月17日

コロナワクチン2回完了 政府の「目標達成」

急速な接種 感染抑制に効果 
オミクロン株、過度に恐れず対処 
国立感染症研究所 脇田隆字所長に聞く

国内の新型コロナウイルスワクチン2回接種完了率が約8割となり、政府は希望者全員への2回接種を11月中に完了するとの目標を「達成できた」と発表した。日本の接種事業に対する見解や、新たな変異株「オミクロン株」などについて、コロナ対策を助言する厚生労働省の専門家組織で座長を務める脇田隆字・国立感染症研究所(感染研)所長に聞いた。

脇田隆字・国立感染症研究所(感染研)所長

――日本の接種事業をどう見るか。

脇田隆字・感染研所長 海外と比べてスタートダッシュは遅れたが、5月の連休後に前政権が「1日100万回の接種目標」を掲げ、日本全体で一気に接種が進んだ。急速な進展によって、かえって社会全体が高い免疫状態となり、行動制限が緩和されてきた現在も、国内の新規感染者数は昨年夏以降で最も低い水準となっている。結果として事業はうまくいったのではないか。

ただ、高齢者の接種率は9割超だが、20~30代は約4分の1が未接種だ。さまざまな理由で打てない人もいると思うが、ワクチンには自分を守るだけでなく、社会全体を感染リスクから守る効果がある。有効性とリスクをしっかり情報提供して、可能な人には打ってもらうことが重要だ。

――南アフリカで検出されたオミクロン株について、現時点で分かっていることは。

脇田 感染拡大のスピードが速いことから、ウイルス自身の感染力や、免疫を逃れる力が強いのではないかといわれている。

南アではワクチンの接種率は2~3割程度だが、自然感染している人も多く、国民の大半が免疫を持っている。しかし、これらの免疫を獲得した人もオミクロン株に感染したと報道されている。ワクチン接種率の高い日本で流行しやすいかは、現時点では分からない。

過度に恐れず、しっかり情報を集めて適切に対処していくことが重要だ。

――軽症で済む可能性が指摘されているが。

脇田 世界保健機関(WHO)が「デルタ株より症状が軽いことを示す根拠が一部にある」と指摘したが、現時点では判断できないとしている。重症化するまでには一定の時間が必要であり、数週間は様子を見なければならない。

日本国内への流入を完全に防ぐことは難しいが、水際対策で可能な限り遅らせて、その間に重症化するかどうかを見極め、対処できるよう準備するべきだ。

――今後の見通しは。

脇田 ワクチンの効果は今がピークで、今後は減弱していくとみられる。

ワクチンには発症や重症化を防ぐだけでなく、感染を予防する効果があることも分かってきたが、感染予防効果は他の効果よりも早く低下するとされている。また、高齢者は若い人に比べて中和抗体価(抗体の量)が上がりにくい。効果を持続させる3回目接種が必要だ。

オミクロン株に対しても、2回接種だと効果が下がるようだが、3回目の接種で従来株の2回接種と同じくらいの効果を発揮するとの研究結果を米製薬大手ファイザーが発表している。

3回目 可能な限り前倒しを

――3回目接種の前倒しについて。

脇田 自治体の準備状況や諸外国の動向を見て、3回目は2回目完了から原則8カ月後となったが、医学的には、効果の目安は6カ月だ。準備の問題もあるが、可能であれば、先行接種した医療従事者や高齢者、重症化しやすい人に前倒しで接種した方がよい。高齢者施設など、感染者が出た場合の影響が大きい場所を優先するのも一つの手だ。=2面に続く

第6波対策、一人一人の行動がカギ

――感染拡大の“第6波”はどうなるか。

脇田 現在、感染拡大している国では、季節的要因や行動制限緩和、ワクチンの接種率など複合的な要素が見られる。日本も今後、ワクチンの効果がピークを過ぎ、冬になって寒くなり、年末年始で普段会わない人とも交流する機会が増えることで、環境的には拡大方向に傾く可能性がある。

第6波がどの程度になるかは、一人一人の行動次第の部分もある。手洗い、マスク着用、三密の回避と換気の励行といった基本的な対策に加え、外出する際は混雑を避け、体調が悪ければ医療機関を受診し、検査を受けてほしい。職場でも、健康管理アプリなどを活用して体調不良者を把握する対応が必要だ。

――必要な対策は。

脇田 3回目接種を前倒すとなると、ワクチンの確保が重要になる。各自治体が接種体制を組みやすいよう、国の協力をお願いしたい。医療体制の強化なども着実に進めるべきだ。

感染症対策は▽検査▽予防▽治療――の3本柱だ。政府は、ワクチンの研究開発拠点を整備する方針を示したが、検査や治療の開発、サーベイランス(発生動向調査)の強化も重点的に進めてほしい。われわれとしては、感染症対策の最前線に立つ各自治体の地方衛生研究所とのネットワークを一層強化し、万全の体制を構築したい。

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