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21年度補正予算案 私はこう見る
経営と暮らしの再建重視
あすから臨時国会
あす6日に召集される臨時国会では、公明党の主張を数多く反映した政府の新たな経済対策を実施するための2021年度補正予算案が、審議の中心テーマとなります。同予算案のポイントと、識者の声を紹介します。
補正予算案の一般会計の歳出は35兆9895億円で、新型コロナウイルスの感染拡大防止と、コロナ禍で痛んだ経済や暮らしの再建を重視した内容です。
公明党が強く訴えていた18歳以下(高校3年生まで)への10万円相当の給付については、21年度新型コロナ対策予備費からの7311億円とは別に、1兆2162億円を確保。マイナンバーカードの普及と消費喚起を進めるため、最大2万円分のマイナポイントを付与する事業には、1兆8134億円を計上しました。
また、住民税非課税世帯に対する10万円給付には、1兆4323億円を手当てするほか、売り上げが50%以上減った中小の事業者に最大250万円を支給する「事業復活支援金」に、2兆8032億円を盛り込みました。
新型コロナの拡大防止に向けては、3回目のワクチン無料接種など体制整備に1兆2954億円、治療薬の確保に6019億円を投入。「人」への投資も強化し、看護、介護、保育などで働く人の賃金引き上げに2600億円、保育・放課後児童クラブの受け皿整備には618億円を確保しました。このほか、防災・減災、国土強靱化には1兆2539億円を充当しました。
■新型コロナ対策 3回目接種 国民の命守る
大分大学 北野正剛 学長(医学博士)
新たな変異株「オミクロン株」が国内でも確認されました。今のところ、感染力や重症化の可能性は不明ですが、従来のワクチンがトータルでは有効だろうと言われています。大切なことは3回目接種を希望する人に広げるとともに、マスク着用など基本的な対策の徹底です。
今回の補正予算案には3回目接種を無料で行うための経費が含まれています。オミクロン株の出現を予見したわけではないでしょうが、追加接種の迅速な実施は国民の命を守り、経済活動を正常に戻す大きな力になります。
公明党の後押しで盛り込まれた、国産ワクチンや治療薬の開発・実用化に向けた予算も評価しています。大分大学が創薬ベンチャーと開発を進める国産ワクチンも、国の支援を受け、初期段階の臨床試験に入りました。
次なる感染症に備える予算も手当てされました。日本では感染症対策は後回しにされがちでした。その反省を生かしてもらいたいと思います。
公明党のモットーは「小さな声を聴く力」です。現場の声を受け止め、自民党とは異なる視点で国民のために働いてほしいと願っています。
■「人」への投資強化 子育ての負担軽減を評価
認定NPO法人フローレンス 駒崎弘樹 代表理事
コロナ禍が子育てに大きなダメージを与えていると感じます。
特に家計が厳しいひとり親からは、「1日の食事がパン1袋」との声も聞かれました。18歳以下(高校3年生まで)の子どもを対象に1人当たり10万円相当を給付する政策は、そういった人たちの負担を軽減し、子育てしやすい社会をつくるという点で素晴らしいと思います。
保育現場などで働く人への支援として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げることも評価できます。コロナ禍で保育士のようなエッセンシャルワーカーの重要性を社会があらためて認識しましたが、保育士の年収は全世帯の平均に届いていません。今回の引き上げを契機に、処遇改善が継続的に進むことを期待します。
DV(配偶者らからの暴力)などの理由で別居状態にあり、今回の給付金のような公的支援が受けられない世帯もあります。公明党は福祉政党として、子ども・子育て分野に関して、与党の中で力を発揮しています。地方との連携で現場の声を吸い上げる力もあります。立場の弱い人に一層、支援が届くよう尽力してほしいと思います。
■経済活動の再開 裾野が広い観光支援歓迎
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 多田計介 会長
宿泊業界は昨秋、国の観光支援事業「Go Toトラベル」で一時的に息を吹き返しましたが、その後のコロナの感染再拡大で事業は停止。以来、深刻な経営状況が続いています。今も多くの宿泊施設で売り上げはコロナ前の半分以下です。
業界全体がトラベル事業の早期再開を待ち望んできました。今回、その費用が国の補正予算案に盛り込まれたことを歓迎します。目下、新たな変異ウイルスの影響も懸念されますが、感染対策上のハードルを乗り越えた上で、一日も早い事業開始を願っています。
観光は産業の裾野が広く、一つの旅館だけで何十、何百という地元の取引先を抱えます。コロナ禍で痛んだ経済の再生へ、最も支援の効果が大きい分野です。宿泊業は必ず地方創生の重要な役割を果たします。旅先で使える「地域共通クーポン」など、国の観光支援拡充にも期待しています。
“転んでもただでは起きない”との精神で、ポストコロナを見据えた業態の変革に挑戦しています。苦境の今こそサービスの質に磨きを掛け、本格的な観光需要の回復に備えたい。これからも公明党には現場の生の声を聴いてほしいです。