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【主張】鳥インフルエンザ 拡大防止へ防疫対策の徹底を
高病原性鳥インフルエンザの発生が国内の養鶏場で相次いでいる。被害が拡大しないよう防疫対策に万全を期す必要がある。
11月に入り秋田、鹿児島、兵庫3県の計4カ所の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が確認され、約35万羽の鶏の処分が進められている。
こうした中、公明党の鳥インフルエンザ対策本部と農林水産部会が17日の合同会議で、防疫体制の強化に向けた施設整備を支援するよう農水省に要請した。また党秋田県本部は15日、被害を受けた養鶏農家などへの支援を県に求めた。
鳥インフルエンザが原因で家畜などを殺処分した場合、原則として国が評価額の全額を手当てする。ただ、経営再建には新たな家畜の購入や施設の防疫強化などが必要で、経済的な負担に対する手だてが重要だ。
被害の救済とともに欠かせないのが、鳥インフルエンザのまん延を防ぐ対策である。
鳥インフルエンザのウイルスを運んでくる渡り鳥の飛来は、これから本格化する。昨秋から今年3月までの昨シーズンは、18県で計987万羽を殺処分するという過去最悪の事態となった。致死率の高い高病原性鳥インフルエンザが拡大したためだ。
今シーズンも、日本に飛来する渡り鳥の営巣地があるロシアや中国の広い範囲で発生が確認されており、日本も厳重に警戒すべきである。
農水省は、養鶏場に入る際の手指消毒の実施や野生動物の侵入防止策といった衛生管理基準の実施状況について、全国の養鶏農家に自己点検を求め、10月20日時点の結果を公表した。
それによると、大半の養鶏場が基準を順守しているものの、一部で守られていない所があった。対策に穴がないよう国や自治体は基準の徹底を強く促してほしい。
国民への情報発信も重要だ。鳥インフルエンザは家畜などへの濃厚な接触がない限り人に感染することはない。また、ウイルスに感染した鶏肉や鶏卵が万一流通しても、十分に加熱すれば食べても健康被害はない。
こうした情報の周知に努め風評被害を未然に防ぐことも国の役割である。