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【主張】世界経済の減速 消費喚起へ一層の賃上げめざせ
世界経済の動向を注視し、適切に対処していくべきだ。
国際通貨基金(IMF)は、世界経済見通しを改定し、2019年の世界の成長率予想を3.5%と、18年10月時点の予測から0.2ポイント下げた。米国や中国、欧州で経済成長が鈍化しており、警戒感が日増しに強まっている。
言うまでもなく、リスク要因の一つは米中貿易摩擦だ。
特に中国は、米国による追加関税が響く。18年の成長率は6.6%と28年ぶりの低水準にとどまる上、19年は6.2%と下振れが予測され、景気失速が鮮明になってきた。
米国も貿易摩擦の影響を受けて、年明けには米国発の世界株安が起きた。19年の成長率見通しは2.5%と、18年10月時点から据え置かれたものの、政府機関閉鎖の長期化など他のリスクもくすぶる。
世界1、2位の経済規模を誇る両国の景気が不透明感を増せば、世界経済は大きな打撃を被ることは間違いない。一刻も早い貿易摩擦の収束が望まれる。
一方で、日本の19年の成長率見通しは1.1%と0.2ポイント上方修正された。これは、消費税率引き上げに伴う政府の反動減対策が成長を下支えすると分析されたからだ。自公政権の経済政策が評価されたといえる。
もちろん、これだけで失速する世界経済のあおりを避けられるわけではない。
今後は、輸出など外的な経済リスクに左右されない、内需の喚起が一層、不可欠となる。将来不安などを背景に、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の動きは鈍い。必要なのは、所得を増やす賃金引き上げだ。
自公政権の取り組みが実り、14年から大企業を中心に2%を超える賃上げが続き、中小企業にも影響が波及しつつある。この勢いを一段と力強くしていきたい。
経団連は22日、19年春闘に臨む経営側の交渉指針を示し、「賃金引き上げのモメンタム(勢い)を維持することで、経済の好循環に引き続き寄与していく」と、賃上げに前向きな姿勢を見せた。
上場企業の18年9月中間決算の最終利益は過去最高を更新した。できるだけ多くの企業が、引き続き賃上げに取り組んでほしい。