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2019年1月21日

TPP発効 効果じわり

11カ国によるTPPの概要

昨年末、日本を含む11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)が発効された。19日には、参加11カ国の閣僚級が集まり「TPP委員会」の初会合を東京都内で行い、開かれた貿易体制の維持・強化を改めて確認した。農林水産物や工業製品の幅広い品目で関税の撤廃・引き下げなどを進めるTPP発効の効果や関係者の反応を追った。

牛肉、2割引き販売も

「TPP発効に先駆けてお求めやすく!」――。昨年12月上旬、都内のある小売店では、2割ほど値下げされた豪州産牛肉が売り場に並んだ。TPPの効果を消費者に実感してもらうため、同月30日の発効よりも前倒しでセールを実施したという。

今後、同系列の店舗では、2月1日の欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効も見据え、本州・四国の約420店で、2月末まで特定の欧州産ワインを1~3割引きで販売する方針だ。

日本は、TPPにおける農林水産分野の関税撤廃率が82%となっており、今後も、オレンジやブドウなどの果物や小麦製品、チーズなどの値下げが見込まれる。ちなみに、輸入牛肉に課す関税(現在38.5%)は段階的な引き下げで16年目以降は9%に低下する。既に今年は、TPP参加国からの牛肉輸入量が急増しており、今後も低価格食品の輸入攻勢は続くと見られる。

知的財産の国際ルールを歓迎

TPPは、モノの関税を下げるだけでなく、知的財産(知財)や環境など幅広い分野で21世紀型の先進的なルール作りをめざしている。中でも知的財産権の保護や行使について定めるTPP第18章への評価は高く、専門家からも「国内制度への影響は限定的だが、海外で国内企業の権利保護が期待でき、メリットの方がはるかに大きい」と評される。

TPPへの関心は、環太平洋地域だけにとどまらない。EU離脱問題に揺れる英国も「TPPが自由貿易の推進の一助となる」(英国際貿易相)と期待を寄せ、参加を模索する。

農家の不安解消へ2次補正で支援策

その半面、安価な輸入品の影響を受ける国内農業への懸念もある。このため、政府は、2015年度以降、次世代の担い手育成やITによるコスト削減など、国内対策に約1兆円を充ててきた。加えて18年度第2次補正予算案で農地の大区画化や中山間地域の所得向上支援、国産チーズの高品質化などにも3188億円を計上し、国内農家の競争力強化を後押ししている。

太平洋を囲む巨大貿易圏の誕生で、政府は、日本の国内総生産(GDP)が実質で約7兆8000億円押し上げられると試算している。その影響が生活現場の最前線に、徐々に広がり始めている。

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