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【主張】訪日外国人観光客 新税生かし消費増やす工夫を
外国人観光客が快適に楽しく過ごせるよう、さらに工夫を凝らす必要がある。
観光庁は16日、2018年に日本を訪れた外国人旅行者が買い物や宿泊などで消費した金額が推計4兆5064億円(速報値)となり、過去最高を更新したと発表した。訪日客数が初めて3000万人を突破したことを反映したものだ。
ただ、喜んでばかりはいられない。1人当たりの消費額は15万2594円で、前年に比べて0.9%減っているからだ。短期滞在が多いクルーズ船客を調査対象に加えたことなどの影響が考えられるが、ここ3年は15万円台で減り続けている。
政府は20年に「訪日客数4000万人、消費額8兆円」の目標を掲げている。1人当たりの消費額は20万円程度への引き上げが必要で、一層の消費喚起が不可欠だ。
折しも今月7日から、観光施策の促進に充てられる国際観光旅客税が導入された。新たな財源を効果的に活用し、目標達成につなげたい。
観光庁の調査によると、訪日客1人当たりの消費額が多かったのは、24万円を超えたオーストラリアがトップで、スペイン、イタリアと続く。
欧米豪地域からの訪日客数は順調に伸びているものの、全体に占める割合は1割強と、まだまだ少ない。官民が連携して訪日プロモーションなどを積極的に展開し、需要の開拓を進めるべきである。
東京、京都、大阪などの大都市圏だけでなく、地方への誘客にも力を入れなければならない。大事なのは、大都市からの交通アクセスを格段に改善することではないか。
スイスには、主な鉄道やバス、湖船、都市交通が乗り放題で利用できる「スイストラベルパス」があり、国内の美術館や博物館が無料になるなどの特典も付いている。
こうした海外の事例も参考に、新サービスの創出に知恵を絞ってほしい。
各地域においては、滞在体験の満足度を高める取り組みが求められる。「もう一度」と思わせ、リピーターを増やすことができれば、地域活性化にも寄与するだろう。
それぞれの観光資源を磨き上げ、多くの“ヒット商品”を生み出してもらいたい。