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【主張】感染者激減でも 次の拡大への備えに万全期せ
7割を超える国民が2回目のワクチン接種を終え、1日当たりの新規感染者数は激減。飲食店の時短営業解除や大規模イベントの人数制限緩和などが各地で実施され、観光地や繁華街の人出も増加している。
こうした中で“第6波”への備えに万全を期すことは、国民の命と暮らしを守り、社会経済活動への影響を抑えるために重要だ。
政府は先月、懸念される新型コロナの感染“第6波”を見据え、医療体制の強化や経口治療薬(飲み薬)の実用化などを柱とする対策の骨格を示した。
今回示された骨格は「(第5波の)2倍の感染力でも対応できる医療体制」の構築を明記した。
具体的には、公立・公的病院の専用病床化を国の権限で進め、都道府県には「保健・医療提供体制確保計画」の策定を要請。感染力が3倍になった場合には、医療機関に一般患者の受け入れ制限を求める緊急措置を導入する。
第5波では病床逼迫により搬送先が見つからず、自宅で亡くなる人が相次いだ。こうした事態を回避するには、十分な病床を確保できる手だてが欠かせない。
さらに、予約不要の無料検査を拡大するほか、血液中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」を全ての自宅療養者に配布し、症状悪化を迅速に把握できる体制を整える。飲み薬の年内実用化もめざす。
いずれも感染拡大の防止に必要な取り組みで、医療機関の負担軽減にもつながる。
感染予防に向けては、年内に3回目のワクチン接種を開始する。
公明党は、衆院選の重点政策で「感染症に強い日本」を掲げ、医療提供体制の再構築や検査体制の強化、治療薬の開発・実用化の促進などを訴えてきた。
3回目のワクチン接種については無料化するよう国会で提案し、岸田文雄首相から「全額公費負担で行う」との答弁を得ている。
政府は、今回示した骨格に具体策を肉付けした全体像を今月中に提示する予定だ。公明党の主張も踏まえ、実効性の高い対策を取りまとめてもらいたい。