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深刻な大量の軽石漂着 撤去費 国が財政支援
斉藤国交相表明 被害の自治体対象
小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の8月の噴火で噴出した軽石が沖縄県や鹿児島県に大量に漂着し、定期航路の運航や漁業活動に深刻な影響が出ている。海流などの状況によっては、今後、本州や四国などの港湾に軽石が漂流・漂着することも想定される。斉藤鉄夫国土交通相(公明党)は2日の閣議後記者会見で、自治体による軽石の撤去作業を財政支援する考えを表明。衆院選比例九州・沖縄ブロックで初当選した公明党の金城泰邦市民活動局次長は同日、沖縄県内で被害実態を調査するとともに、関係者から話を聴いた。
国交省は、軽石の撤去費用について、被災した防波堤や岸壁などの復旧事業に対する補助制度を活用して支援する。記者会見で斉藤国交相は、1日時点で軽石の漂着を確認した港湾は沖縄県で13カ所、鹿児島県で20カ所に上ると報告。その上で「自治体が進める除去に対して財政支援ができるよう準備を進めるとともに、効率的かつ迅速な軽石除去ができるよう、専門家の意見も聞きながら検討を進めている」と述べた。
軽石が大量に漂着した港では、船舶が軽石を吸い込み、航行不能になる被害も発生。斉藤国交相は、離島航路の一部に運休が出ていることも念頭に、住民生活に影響が出ないよう自治体の取り組みを支援する考えも強調した。
この問題に関して、国立研究開発法人「海洋研究開発機構」の試算によると、軽石は黒潮によって運ばれ、11月末ごろ千葉県など関東地方沿岸に到達する可能性がある。10月31日には第5管区海上保安本部(神戸市)が、軽石とみられる漂流物を高知県沖で確認したと発表していた。
漁業者支援を迅速に
沖縄・国頭村 金城氏らが現地調査
漁港に漂着した軽石の除去作業について県担当者から説明を受ける金城氏(右から3人目)ら=2日 沖縄・国頭村
金城氏は、軽石が漂着している沖縄県国頭村の漁港を調査し、関係者から軽石の除去作業や漁業者支援などを急ぐ必要性を確認した。党同県本部の金城勉代表と上原章幹事長の両県議、大城秀樹、金城善英の両名護市議が同行した。
金城氏らが視察した辺土名漁港では、県から委託を受けた業者が、軽石を除去する作業を10月末から開始。県担当者は、漁港へ流れ込むのを防ぐフェンスを設置した対策の内容を説明したが、「風向きで軽石の流れが変わり、今後の対策も変化する」と懸念を示した。
国頭漁業協同組合の村田佳久代表理事組合長は「漂着が確認された10月20日ごろから漁に出られていない。再開までの先行きが見えないことが最も不安だ」と述べた。
視察に同行した宮城明正副村長は、補正予算で漁業者支援を進める方針を示したものの、「このまま影響が長引くと、県や国からの支援が必要になる」と指摘した。
金城氏は「影響の長期化が予測される。国と県の連携を強化し、迅速な対応を促していく」と述べた。加えて、県内離島を結ぶ旅客船や観光業などへの影響も把握し、必要な対策を求める考えを示した。