ニュース
貴重な湿地 次世代へ継承
葛西海浜公園 東京初のラムサール登録に反響
五輪の機運醸成を後押し
東京・江戸川区
国内有数の野鳥の飛来地として知られる東京都江戸川区の都立葛西海浜公園が、国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」に昨年10月、都内で初めて登録され、反響を呼んでいる。東京湾岸にわずかに残された同公園の干潟と浅海には、毎年2万羽を超える野鳥が飛来する。公明党の上野和彦都議と区議会公明党(竹内すすむ幹事長)が、条約登録の実現に尽力した。
ラムサール条約は、水鳥などの生息地として国際的に重要であると見なされる湿地を登録し、保全することを定めた条約。日本国内の登録湿地は現在、北海道の釧路湿原や茨城県の涸沼など計52カ所に上る。
今回、宮城県南三陸町の志津川湾とともに登録された葛西海浜公園は、1989年に開園。延長約800メートルの二つの人工なぎさ(西なぎさ、東なぎさ)と、沖合2キロメートルまで広がる海域からなる。「西なぎさ」は海辺でバーベキューや潮干狩り、夏場は海水浴など多くの来園者でにぎわう。一方の「東なぎさ」は、自然環境を守るためのゾーンとして、一般の立ち入りを禁止している。
国内有数 野鳥2万羽が飛来
葛西海浜公園は、荒川と旧江戸川の河口に広がる約367ヘクタールの干潟を有するのが特徴。海水と淡水が混じる汽水域で、二枚貝や甲殻類などが数多く生息。これまで120種類以上の鳥類が確認されており、ガンやカモ類などの水鳥が定期的に2万羽以上飛来することなどが、条約の登録基準を満たした。
東京初のラムサール条約登録は反響を広げ、先ごろ開かれた登録記念イベントには、朗報を待ちわびていた地元住民ら約1000人が参加。お魚博士・さかなクンによるトークや、登録記念碑の除幕などが行われ、祝賀ムードに包まれた。
公園の隣接地では、20年東京五輪でカヌー・スラローム競技が開催される予定にもなっている。公園の条約登録が海外から注目され、五輪の機運醸成への後押しにつながることが期待される。
登録記念碑の前で担当者から話を聞く上野都議(正面右から2人目)と江戸川区議会公明党のメンバー
公明が実現に尽力
東京都が葛西海浜公園のラムサール条約登録をめざすと明言したのは、公明党の都議会での議会質問への答弁でだった。17年3月の都議会予算特別委員会で上野都議が「東京五輪・パラリンピックに向け、何とか進めてほしい」と訴えたのに対し、小池百合子知事は、登録に向けて準備を進めると同時に、同公園の自然環境の保全を強化すると応じた。
また、区議会公明党も17年2月と昨年6月の定例会で条約への登録に向けた環境保全を訴えていた。
上野都議は「東京五輪・パラリンピックに向けて、今回の登録は世界にPRできる大都市・東京の魅力の一つになる。これからも貴重な自然や湿地を守り、次世代に継承していく取り組みを進めたい」と語っていた。