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2021年10月13日

核禁条約と公明党

批准への環境整備進める

「最終的には核兵器禁止条約(核禁条約)を批准できるよう環境を整えていくことが、わが国のあるべき方向性だ」―公明党の山口那津男代表は核禁条約発効の今年1月22日、党の参院議員総会でこう訴えた。同時に現在の核兵器を巡る国際情勢が厳しいことを踏まえ、核廃絶という「高い理想と遠大な目標に向かって、一歩一歩着実に進めていきたい」とも述べた。被爆地広島出身で「核のない世界」を訴える岸田文雄首相の誕生で核廃絶へ新たな動きも期待される。核禁条約に対する公明党の姿勢を解説する。

画期的な法規範と評価
廃絶の主張は唯一の戦争被爆国・日本が持つ責任であり権利

代表質問に立つ山口代表=1月22日 参院本会議場

政府は核禁条約(国連で2017年7月7日採択、今年1月発効)を「署名も批准もしない」方針である中、与党の公明党は核禁条約をどう評価しているか。山口代表は次のように訴えてきた。

「(核禁条約は)ヒバクシャの強い思いの結晶であり、核兵器の実験や開発、保有、使用などを初めて全面的に禁止した画期的な国際法規範です」(21年1月22日 参院本会議)

「わが国は唯一の戦争被爆国です。核軍縮、核兵器のない世界実現への責任と権利を有します。だからこそ、積極的に核保有、非保有各国間の橋渡し役として主導的な役割を果たし、そして核軍縮の結果を出していくべき」(18年1月26日 参院本会議)

「(米国の)核抑止力を前提にした政策がとられていることも偽らざる事実…(中略)…非常に制約のあるわが国の中で、どうやって実際に核のない世界に近づけるか。そういう実践的な営みを推進してこそ、公明党の現実的な平和主義の取り組みだと確信している」(17年11月20日 党核廃絶推進委員会・青年委員会合同会議)

公明党の基本姿勢は、①「核は違法」の規範を高く評価する②核保有国と非保有国の対話の「橋渡し」をする③核廃絶へ現実的な取り組みを進める――の3点に要約できる。

一方、核禁条約を巡る現実はどうか。核保有国だけでなく、日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国、韓国など安全保障で米国の核抑止力に頼る「核の傘」の下にある国は核禁条約に反対だ。しかも核大国は新型核の開発を競い、北朝鮮は日本の脅威となる核開発を続けている。さらに、核保有国と核禁条約を推進した非保有国との間には対話もできないほどの溝ができた。

こうした中で公明党は「核廃絶をなんとしても実現することが政治の使命」だと考えている。その第一歩が対話への「橋渡し」である。

なぜ橋渡し役が必要か
対立深める保有国と非保有国との対話で新しい安全保障創る

なぜ対話なのか。核廃絶には核を必要としない新しい安全保障を創造する必要があるからだ。

核保有国は「核があるから平和がある」との核抑止論である。実際、核は安全保障の柱にされており、核の先制不使用を明言しているのは中国だけである【表参照】。一方の非保有国からは「核抑止論は幻想」との声もある。それでは核がなくても安全が保障される世界をどう創るか。それを探るために双方の対話が不可欠である。

日本政府は核禁条約が採択された17年に「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」を設置し、核保有国、非保有国に加え中道的立場の国からも民間有識者を招き、対話への「橋渡し」の努力を始めた。同会議は19年10月に議長レポートを提出、その中で核によらない安全保障など「ハード・クエスチョン(困難な問題)」に取り組むことの重要性を指摘した。

同会議を推進してきた公明党も、双方の対話で核によらない新しい安全保障が生まれることを期待し、同時に、日本がその議論を主導すべきと考えている。斉藤てつお副代表は今年2月22日の衆院予算委員会で「核抑止に代わる新しい考え方、安全保障の基盤を考えることを日本がリードしてもいいのではないか」と主張。茂木外相は「安定的な形で核によらずそういうことができるのが望ましいと思っており、そういった検討は進めなければいけない」と一歩踏み込んだ答弁をした。

日本が「困難な問題」に取り組みながら、双方の「橋渡し」をすることが必要である。

NGOとの連携さらに
日本は締約国会合にオブザーバー参加し存在感を示すべき

核禁条約はヒバクシャの声があって実現した。その運動を支援し、「核は違法」との国際世論を喚起したのは核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN=アイキャン)などNGO(非政府組織)だ。ICANは17年のノーベル平和賞を受賞した。

党核廃絶推進委員会の浜田昌良委員長(参院議員)は、核兵器廃絶日本NGO連絡会の川崎哲共同代表(ICAN国際運営委員)との対談で「NGOの人道論的アプローチと、安全保障論的アプローチの両方が必要」との見解を表明。川崎氏は「人道論と安全保障論は矛盾することではない。今は対立が演出されているが重なる部分では一緒に進めていくことが非常に重要」と応じた(本紙3月30日付)。党推進委員会は09年12月の第1回会合からNGO連絡会のメンバーを招き現在まで意見交換を続けている。

核廃絶にはNGOとの連携は不可欠だ。核禁条約に未加盟の日本だが、まずは来年3月開催の締約国会議への“オブザーバー”参加をNGOと共に政府に求めている。これについて浜田委員長は「(参加で)存在感を示し、中長期的には日本が批准できるような安全保障環境を創出していくべき」と訴えている。

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