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コラム「北斗七星」
今年のノーベル物理学賞に、真鍋淑郎さんの受賞が決まった。決定直後のテレビ取材では、90歳という年齢に思えない若々しさを発揮。受賞の知らせに「本当ですか? 信じられない!」と驚く姿には、飾らない人柄もにじんでいた◆真鍋さんはコンピューターを使って大気と気温の関係をモデル化。二酸化炭素などが増えると温暖化をもたらすという予測を50年以上前、世界に先駆けて発表したことが受賞理由となった◆愛媛県の開業医の家に生まれた真鍋さんは、自分も医学をめざしていた。しかし手先が器用ではなく、実験で失敗するなどして、医師は諦めたという◆その話を新聞で見たとき、2012年にノーベル生理学・医学賞を受けた山中伸弥さんを思い出した。山中さんも整形外科医を志望したが、他の医師より技術が劣り、指導医から「ジャマナカ」と呼ばれていたと語っている。挫折を経験しても、好奇心を忘れず、興味を突き詰めていけば、道は開けるということだろう◆地球温暖化対策は待ったなしの課題だ。公明党は昨年1月の通常国会で「2050年を視野に、温室効果ガス排出を実質ゼロに」と提言。政府も同年秋、排出量ゼロの目標を打ち出すなど、取り組みが本格化している。脱炭素社会の実現に向け、さらに歩みを加速していきたい。(千)