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全国初 動物園内に絵本美術館
物語とセット 心豊かに
地元作家ら 書籍や原画1000点を寄贈
福岡・大牟田市
開園80周年を迎えた大牟田市動物園(福岡県)は今月1日、園内に「ともだちや絵本美術館」を開設した。同市出身の児童文学作家・内田麟太郎さんが「絵本をふるさとのために生かしたい」と同市に協力した。全国初となる動物園内の絵本美術館開館に向け、推進してきた公明党大牟田市議団(大野哲也団長)がこのほど、現地を訪れ、担当者から話を聞いた。
全国で初めて動物園内に開設された絵本美術館
担当者から展示されている絵本について説明を受ける党市議団(左側5人)
木造平屋の広々とした美術館内は森の中に入ったような雰囲気だ。「木の模様をかたどった展示物に照明を当てて、木々の陰が地面に映るような演出を施した」と担当者は語る。また、「子どもから大人まで楽しみながら創造力を育む場」をテーマに、羊やウサギなどの動物の色や形に似せた家具が並び、訪れた人を楽しませている。
「えほんギャラリー」は、年に数回の展示替えを予定。現在、内田さんの人気シリーズでキツネが主人公の『ともだちや』や、同市の夏の風物詩である「大蛇山まつり」が登場する『とうちゃんはむしゃんよか(かっこいい)』の原画が展示されている。
飲食や休憩が可能な「のんびりホール」では、国内外1500冊以上の絵本を自由に読むことができる。同園内を見渡せるホールのテラスからは、飼育されているキリンも見られる。市観光おもてなし課の前嶋耕司課長は「絵本の素晴らしさを広げるとともに、動物園の新しい歴史をつくっていきたい」と意気込む。
同市ではこれまで、市内の商店街や公共施設で同市出身の作家の作品を中心とした絵本ギャラリーを開催してきた。その際、展示されていた内田さんの作品には、多くの動物が登場することから、主催した市商工会議所が2017年8月、「市動物園内に絵本の展示場を設置してはどうか」と市に提言していた。それを受け、市は18年度から、同園の機能強化事業の一つとして、園内に絵本美術館を開設することを決めた。
内田さんは、絵本の普及やふるさとの発展につなげようと、今回、同館に自身の作品だけでなく、知人の作家にも協力を求め、約1000点を超える絵本やその原画を寄贈。「三池炭鉱の爆発事故など暗い歴史があるふるさとに、明るくおしゃれなイメージが根付けば」と語っている。
公明党市議団は、郷土にゆかりのある作家の絵本を生かしたまちづくりをめざし、議会質問などを通して絵本の魅力発信と地域振興に力を注いでいる。