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脊髄損傷に再生医療
厚労省が条件付き承認
世界初、来春ごろ治療開始
札幌医科大学とニプロ株式会社が共同で開発してきた脊髄損傷を治療する再生医療製品が28日、厚生労働省から「条件及び期限付承認」を受け、同日、札幌市にある同大学内で関係者が記者会見した。
この“薬”は、患者本人から採取した骨髄液に含まれる間葉系幹細胞を約1万倍に培養したもの。培養液を点滴で投与することで、損傷した神経の再生を促す。
2014年から始まった治験では、13人の患者のうち、12人が運動機能や知覚に改善が見られるなど有効性を実証。今回の「条件及び期限付承認」も有効性が推定され、安全性が確認された再生医療製品を迅速に承認する仕組みで、来年春ごろから保険適用での治療が始まる見通し。
席上、治験を担当した同大の山下敏彦教授は、「リハビリで機能回復を図る以外になかった脊髄損傷を治療する試みは世界初であり、画期的」と強調。塚本泰司理事長・学長は、脳梗塞を対象とした同様の治験に取り組んでいることを踏まえ、「さまざまな疾患で神経再生を必要としている患者に、新しい治療を提供していきたい」と語った。
公明党は、再生医療推進法の制定をはじめ、最先端医療の研究・開発を進める環境づくりを推進。道議会公明党(森成之団長)も、同大学の施設整備のほか、治験がスムーズに進むよう後押ししてきた。党厚労部会顧問の桝屋敬悟衆院議員は、「多くの患者と家族が待ち望んでいた治療法。一人でも多くの人たちが恩恵を受けられる体制が構築できるよう、党として支援していきたい」と語った。
公明の尽力に深く感謝
高橋はるみ・北海道知事
全国で10万人以上に上るといわれる脊髄損傷の患者さんが待ち望んでいた最先端の医療が、いよいよ現実のものになります。札幌医科大学の研究から、最先端の治療法が生まれたことを大変喜ばしく思います。
公明党は、本道においても、早くから再生医療研究の将来的な可能性に着目され、札幌医科大学の研究現場に足を運び、実用化を加速させるための提言などをしていただきました。今回の承認への道のりに多大な尽力をいただいたことに、あらためて深く感謝申し上げます。