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重症化防ぐ体制広がる
コロナへの抗体カクテル療法
95%が症状改善(東京都分析)
2万5000人に投与 厚労省
公明が推進 外来でも使用可能に
全国2000施設へ治療薬を配布
新型コロナウイルスに感染した軽症・中等症患者の症状改善に効果を上げている「抗体カクテル療法」を行う施設の整備が全国で進んでいる。厚生労働省によると、12日時点で国内の約2000施設に同療法の治療薬が配布されており、入院や外来で投与された人は計2万5000人に上ると見込まれる。公明党の推進で外来での投与が8月25日から始まったこともあり、医療機関や宿泊療養施設など臨時の医療施設での実施体制が広がったことによるものだ。
抗体カクテル療法では、2種類の抗体(ウイルスなどの異物を排除するタンパク質)を組み合わせた中和抗体薬・ロナプリーブを点滴で投与。二つの抗体で、ウイルスの細胞への侵入を阻止する。原則、発症から7日以内に、糖尿病や肥満、高血圧など重症化リスクがある患者(酸素投与が必要な人を除く)に対して行われる。
海外の臨床試験では、入院や死亡のリスクを約7割減らすことが確認されている。国内では、東京都の分析(9月3日時点)によると、投与から14日以上経過している420人のうち、400人(95.2%)の症状が改善したという。
同療法は、発症の早い段階で実施すれば、より効果が高いとされる。しかし、治療薬は7月に特例承認されたものの、投与後の副反応に対応できるよう入院患者への使用に限られていたため、感染が急拡大している一部地域では病床が確保できず、同療法を実施できない状況が生じていた。
こうした実情を訴える医療現場の声を受けた公明党は、入院できない軽症患者に外来での投与を可能とするよう強く主張。8月25日の衆院厚労委員会で田村憲久厚労相から「外来で使っていくことも早急に進めていく」との答弁を引き出すことができた。
これを受け、治療薬投与後の経過観察など一定の要件を満たした医療機関において、自宅療養者に対する外来での投与がスタート。東京都や大阪府、北海道、茨城、愛媛、福岡、長崎の各県など、医療スタッフを確保した臨時の医療施設(宿泊療養施設など)でも実施する自治体が増えている。
このほか治療薬を巡って公明党は、中等症・重症患者向けの抗ウイルス薬・レムデシビルについても、酸素投与などを行う酸素ステーションで使用できるとの政府の見解を明確化させた。
なお、菅義偉首相は15日、自宅療養者への往診で抗体カクテル療法を可能とするよう厚労省に検討を指示したと表明。田村厚労相も同日、早急に検討する意向を示した。