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2018年12月26日

共生の時代を開く――九州支局発(上) 障がい者が楽しめる社会へ

誰でも足運べる映画館 大分県

安心して映画を鑑賞してもらうため、照明や音響に配慮した「誰でも楽しめる映画館」

障がい者にも日々の生活を楽しんでほしい――。そんな願いを込めて、障がい者の社会参加の後押しが進んでいる。公明党も力を注ぐ、障がい者が輝く社会の構築へ、「全国障害者芸術・文化祭」(文化庁など主催=10月6日~11月25日)の開催地となった大分県から、障がい者の「見ること」「着ること」に着目した企画を紹介する。

■照明明るく、音量も小さめ

「全国障害者芸術・文化祭」の一環として、大分県などが大分市内の映画館で開催した映画の上映会「誰でも楽しめる映画館」。障がい者やその家族を対象に、手話通訳を配置するなどの、必要な支援を行いながら映画鑑賞を楽しんでもらう試みだ。映画館の臨場感は、自宅のテレビでは感じられない魅力の一つ。しかし中には、障がいがあるなどの理由から、周囲に迷惑になるのではないかと、映画館に行くのをためらう人もいる。不安を解消し、映画館に足を運びやすくしようというのが狙いである。

上映会は、市内二つの映画館で計4回実施。担当者によると、こうした上映会を一般の映画館で行うのは「全国でもおそらく初めて」という。

■手話通訳や看護師待機で安心

上映会の一つに密着すると、開場とともに参加者が場内へ。会場にはボランティアスタッフが待機し、来場者を出迎えた。この日は全席自由席で、上映されるのは新作映画『旅猫リポート』(118分)。家族と座席を相談する人や「どこが見やすいですか」とスタッフに尋ねる姿もあった。

しばらくすると、2人のスタッフがスクリーン前に登壇した。場内は一般の劇場より照明を明るく、音量を小さく設定していることや、会場前方に看護師が待機していることを説明。作品の簡単な紹介があった。

上映が始まった場内は、照明が少し暗くなった。時折、スピーカーから大きな音が鳴ると「わっ」と声が上がり、話し声がすることもあったが、トラブルが起こることはなかった。最終盤、場内を見渡すと、ハンカチを目に当てながら映画に見入る人の姿も。

終了後、来場者の一人に話を聞くと、「泣いた!」と一言。付き添っていた人は「ボランティアの対応が良かった。安心だ」と話していた。

上映会を見守った県の担当者は「落ち着いて映画を見てもらうことができたのではないか」と評価した。一方、映画館に足を運びやすくするためには、「映画館側や一般の来場者の配慮も重要」と指摘。「今回のような企画を続けながら理解を広げていきたい」と話していた。

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