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【主張】地球温暖化対策 暮らしの脱炭素化も進めたい
政府は3日、温室効果ガスの削減に関する国や自治体、企業、国民の取り組みを示した「地球温暖化対策計画」の改定案を了承した。パブリックコメント(意見募集)を経て10月末までに正式決定する。
温暖化の進行が「気候危機」と呼ばれるほど深刻な脅威となる中、国を挙げて対策を強化する意義は大きい。
計画案は2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現と、30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する目標を明記。具体策として再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大や建築物の省エネ・断熱化、電気自動車の普及などを掲げた。
これにより、13年度と比べた30年度の二酸化炭素(CO2)排出量について、家庭で66%、オフィスで50%、製造業で37%の削減をめざす。
今回の改定案で特に注目したいのは、日常生活における脱炭素化を進める方針を明確にした点だ。日本の温室効果ガス排出量の約6割は、衣食住や移動に伴うエネルギー消費などの家庭関連が占めており、脱炭素社会の実現には、国民一人一人のライフスタイルの転換が欠かせない。
その手だての一つが、環境省が8月31日に発表した「グリーンライフ・ポイント」の創設だ。公明党が今年4月と5月に行った政府への政策提言で訴えてきたもので、環境省の22年度予算の概算要求に計上されている。
具体的には▽再エネへの切り替え▽省エネ機器への買い換え▽食品ロス削減▽プラスチック製スプーンなどの受け取り辞退――といった環境に配慮した消費行動にポイントを付与する。今回の改定案にも盛り込まれており、需要を喚起する効果も期待できる。
CO2排出量の「見える化」も改定案で強調されている。例えば、原材料の調達から廃棄・リサイクルまでの過程で発生するCO2の量を、商品に分かりやすく表示する「カーボンフットプリント」といった取り組みが重要だ。消費者に低炭素な暮らしを促すことにつながろう。
50年脱炭素社会の実現は、公明党が昨年1月に国会で主張し、同年10月に菅義偉首相が政府方針として正式表明した。総力を挙げて達成したい。