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菅氏、自民総裁選出馬せず
首相退任へ「コロナ対策に専念」
菅義偉首相(自民党総裁)は3日、自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補しないと表明した。総裁選は、岸田文雄前政務調査会長(64)のほか、複数の候補で争われるとみられる。新総裁は10月初めに召集される見通しの臨時国会で次期首相に就任する。これに伴い、菅首相が正式に退任する。
首相は3日の党臨時役員会で「新型コロナ対策に専念したい。総裁選には出馬しない」と表明。その上で、週明けの実施をめざした党役員人事・内閣改造は撤回した。
役員会後、二階俊博幹事長は党本部で記者団に「総裁が考えに考えた末に決断したことだ。総裁の考えを受け入れ、党運営に対処していきたい」と語った。
また、菅首相は首相官邸で記者団に「首相になってから1年間、新型コロナ対策を中心とする、さまざまな国が抱える問題に全力で取り組んできた。コロナ対策と(次期衆院選の)選挙活動を考えたときに、やはり両立はできない」と説明。「国民の命と暮らしを守る首相として(コロナ対策を)やり遂げたい」と語った。来週、改めて記者会見を開く。
歴代最長の安倍前政権を官房長官として支えた首相は、安倍氏の辞任に伴う昨年9月の総裁選で勝利し、第99代首相に就任した。デジタル社会の構築へ司令塔となるデジタル庁の設置や、2030年度に温室効果ガスの排出を13年度比で46%減らす「脱炭素」目標策定などに取り組んだ。
大変な驚き、重要な決断
感染収束へ全力尽くす 山口代表
公明党の山口那津男代表は3日午後、国会内で記者団に対し、菅義偉首相が自民党総裁選に出馬しない意向を表明したことについて、大要、次のような見解を述べた。
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一、大変驚いた。報道で初めて知った。首相からは、コロナ対策に専念する選択をしたという説明だった。われわれとしても、コロナ対策に今まで以上にしっかり取り組んでいくことが大事だ。首相はコロナ対策最優先で、国民に対する責任を貫こうとしている。こうした姿勢を評価した上で、共に力を合わせたい。
一、(菅政権について)次の新たな総裁が選ばれて、国会で首班指名を受けるところまで(菅氏は首相としての)職務を執行し続ける。重要な決断でコロナ対策に専念することを選んだわけだから、与党として公明党もしっかり支えて、現下の感染状況に着実に対応していきたい。
一、菅首相が選出されて間もなく、わが党が主張してきたことにヒットする新たな政策を打ち出した。例えば、不妊治療への保険適用や縦割り行政の打破、デジタル化の推進、携帯電話料金の大幅引き下げは、大変共感が集まり、着実に実施してきた。
一、ワクチンの入手や無料接種の財源確保、自治体などを中心とした円滑接種は、首相と思いを共有しながら推進してきた。高齢者優先で接種した効果が表れているし、若い世代への接種も進む中、収束の方向が見えるよう全力を尽くすことが大事だ。
一、(次期衆院選について)衆院選は政権選択の選挙となる。自公連立政権として、これからも政権を任せていただけるよう、しっかり国民にアピールするために(新総裁とも)力を合わせたい。それまでは総裁選を見守りたい。