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2021年9月3日

コロナワクチン 若者への接種促進を

長崎大学大学院 森内浩幸 教授に聞く

国内の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1日現在で1億3000万回を超え、高齢者の2回接種率は9割に迫る。一方で、副反応や効果への懸念から、若者の約2割は接種に後ろ向きという調査結果もある。ワクチン接種によるメリットなど、若者が抱える疑問や接種促進への取り組みについて、日本ワクチン学会の理事を務める長崎大学大学院の森内浩幸教授に聞いた。

都の調査 2割が後ろ向き

ワクチンを接種しない理由(20代)

東京感染症対策センター(東京iCDC)が今年7月16、17日に行った、都内在住者対象のアンケート結果では、コロナワクチンを「おそらく接種しない」「絶対に接種しない」と回答した人の割合が、20代男女でそれぞれ19.0%と18.8%、30代男女で16.7%と19.1%に上った。

50代(男女=12.1%と8.7%)などと比べると否定的な傾向が見られた。

接種しない理由には、「副反応が心配」「ワクチンの効果に疑問がある」のほか、「感染しても自分は重症化しないと思う」や「接種のために外出するのがめんどう・時間が取れない」という回答が多かった。

深刻な後遺症 防ぐ効果
懸念される副反応は数日で消滅

長崎大学大学院・森内浩幸教授

――副反応への心配を抱える若者が多い。

副反応などのデメリットは実際に起こるので、目につきやすい。逆に感染しにくいなどのメリットは、ワクチンの効果でそうなったかが分かりづらく、認識しづらい。

接種後の腕の痛みや腫れ、発熱などの症状は数日で消える。感染後の後遺症などに何カ月も何年も悩まされる可能性を考えればメリットの方が格段に大きい。まれに起こる強いアレルギー反応のアナフィラキシーについては、接種後、すぐに症状が出るケースがほとんどだ。接種会場では十分な対策が取られているので安心してほしい。

――接種効果について疑問の声もある。

現在、接種が進んでいるコロナワクチンは、発症や重症化をかなりの確率で防ぐ。感染力が強いとされる変異株(デルタ株)によって、若い世代の感染者が増えている。軽症で済むと思っている人が多いが、20代の死亡例も出ている。

軽症で済んだとしても後遺症に悩まされる可能性が高い。ノルウェーで行われた追跡調査では、16~30歳の軽症患者の半数を超える52%の人に嗅覚・味覚障害、倦怠感、脱毛など、何らかの後遺症が見られた。

社会を守ることにもつながる。従来のアルファ株は1人から3人に感染を広げると言われていた。感染を広げる対象が1人未満になれば感染は収束に向かう。そのため、人口の7割に集団免疫を獲得させることが目標だった。

しかし、デルタ株は3人どころか5~9人に感染を広げると言われる。感染を抑えるためには少しでも多くの人のワクチン接種が必要だ。医学的な理由でワクチンを打てない人、また病気などによって免疫が落ち、ワクチンを打っても効果が期待できない人がいる。家族や周囲の人だけでなく、そういう人を守る意味でも可能な限り接種を受けることが重要だ。

根拠ある情報つかんで

――ネット上ではデマが散見され、健康被害への懸念につながっている。

結論やデータがまだ出ていないことについて、断定的な論調で情報が発信されること自体がデマである証明だ。

十分なデータがないために慎重な対応を取っていたものもある。妊婦への影響などがそうだ。これについては米国で何万人という規模で接種が行われ、ワクチン接種によって流産や胎児の障がいのリスクが高まることはないと分かった。

接種によって引き起こされる病気に「心筋炎」があるが、若年男性へのワクチン接種による発症率が2万分の1であるのに対し、コロナ感染による心筋炎の発症率は約43分の1(2.3%)と、ワクチン接種のほうが圧倒的に頻度は低い。根拠があり、信頼できる情報をつかんでいくことが大切だ。

――若者の接種促進に向けては。

若者が目にする媒体で分かりやすく、正確な情報を発信し、接種に納得してもらう必要がある。自分の周囲にワクチンを打っている人がいるかどうかも影響する。大学を拠点とした接種では学生の7~8割が接種した例もある。

その意味では、著名人など若者の共感を得られやすい人に、ワクチン接種の必要性やコロナ感染によるリスクなどを発信してもらうことも有効だ。米国の疾病対策センター(CDC)では、マスク啓発の手段として、過去の映画の名シーンで主人公がマスクを着用している動画を発信するなどの工夫をしている。

もりうち・ひろゆき

1960年生まれ。長崎大学医学部卒。日本ワクチン学会理事。日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会主担当理事。

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