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閣議決定した新防衛大綱、中期防
宇宙・サイバーなど「新領域」対処
予算を効率・合理化 5年、2兆円削減めざす
党外交安全保障調査会長(与党ワーキングチーム座長代理)佐藤茂樹氏に聞く
政府は18日、今後おおむね10年間の防衛政策の基本指針となる新たな「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防、2019~23年度)」を閣議決定した。取りまとめに当たった与党ワーキングチーム(WT)座長代理の佐藤茂樹党外交安全保障調査会長(衆院議員)に新防衛大綱と中期防に関して、公明党の主張が反映されたポイントなどを聞いた。
――新たな防衛大綱、中期防のポイントは。
佐藤茂樹調査会長 今回の防衛大綱と中期防は、15年に平和安全法制が制定された後、初めての見直しとなります。日本を取り巻く安全保障環境の厳しさが増しているという認識の下、政府の有識者会議と与党WTで並行して議論し、策定されました。
特徴は、世界の軍事技術の革新的進歩を踏まえ、宇宙・サイバー・電磁波といった「新領域」と、従来の陸海空を組み合わせた領域横断による、真に実効的な「多次元統合防衛力」の構築を打ち出した点です。
――その中で、公明党が重視したところは。
佐藤 公明党は、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国にならないという基本理念に従い、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備するとの視点で議論しました。
また、極めて厳しい財政状況を踏まえ、防衛費の効率化・合理化にも力点を置きました。大綱に「防衛力整備の一層の効率化・合理化を図り、経費の抑制に努める」と明記させ、今後5年間の予算総額から約2兆円削減する目標も設定されました。
公明党の強い主張で、防衛装備品などの事業の契約については、5年間で使える予算に新たな枠を設定し、長期契約による後年度負担を適切に管理することになりました。これにより防衛費の透明性が高まります。
「いずも」改修 専守防衛で確認書
――今回の議論では「いずも」型護衛艦の改修が話題になりました。
佐藤 今回の大綱、中期防には、飛行場の少ない太平洋側をはじめとした地域の防空態勢を強化するため、短距離離陸・垂直着陸が可能なSTOVL機の導入を盛り込んでいます。このため、「いずも」で離発着できるように改修し、運用の幅を広げるとしています。
改修しても、搭載機数は10機程度と限られる上、常時搭載ではなく「必要な場合には運用する」としています。しかも、STOVL機は通常は陸上基地に配備され、新たな艦載機部隊はつくりません。
――与党WTではどのような議論をしましたか。「事実上の空母化」との報道もあります。
佐藤 与党WTでは「いずも」を改修しても、政府がこれまで憲法上保有が許されないとしてきた「攻撃型空母」のように相手国の国土を壊滅的に破壊する能力を持たず、運用もしないことを確認しました。
公明党の提案で、専守防衛を堅持して運用するという「確認書」(要旨別掲)も交わし、政府と与党の合意事項としました。確認書は、安倍晋三首相にも直接手渡しました。首相は「重く受け止めて、しっかり運用する」と回答しています。
――そのほかに公明党の主張が盛り込まれた点は。
佐藤 公明党は専守防衛の堅持に一点の曇りもなく、確認書の中身を大綱、中期防に反映するよう主張。特に「いずも」でのSTOVL機運用について、「必要な場合」の例示として、中期防に「有事における航空攻撃への対処、警戒監視、訓練、災害対処等」と規定させました。
さらに中期防には、改修後も、潜水艦の監視や大規模災害対応などの任務に就く多機能護衛艦として活動し「憲法上保持し得ない装備品に関する従来の政府見解には何らの変更もない」と明記しています。
引き続き、専守防衛を堅持しつつ、国民の平和と安全を守る防衛体制整備に全力で取り組んでいきます。
与党ワーキングチーム「確認書」要旨
一、太平洋側をはじめとするわが国の防空態勢を強化するに当たり、「いずも」から短距離離陸・垂直着陸が可能なSTOVL機の運用ができるようにする必要がある。
一、「いずも」は常時STOVL機の運用に用いられるものではなく、例えば、飛行場の少ない地域での航空攻撃への対処や警戒監視など、必要な場合にSTOVL機を運用する。
一、「いずも」は改修後も引き続きヘリコプターの運用や医療、輸送などに用いる多機能の護衛艦として、多様な任務に従事する。
一、改修後の「いずも」は、憲法上、専守防衛の範囲を超え保有は許されないとする「攻撃型空母」に当たらないのは明白であり、現在の国際情勢や科学技術を考慮すれば、憲法上保有を禁じられるものではない。










