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【主張】消費者教育 18歳成人に悪徳商法見抜く力を
来年4月からの18歳成人を前に、さまざまな準備が進んでいる。その中でも特に、社会的経験の乏しい18、19歳が悪徳商法の被害に遭い、高額な負債で生活破綻に陥ることを防ぐための消費者教育が重視されている。
政府は今、「成年年齢引き下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」を実施中で、先週は法務省が消費者教育の応援として「教員向け法教育セミナー」をオンラインで開催した。政府は18、19歳が「社会の主体者」「賢明な消費者」として雄飛できるよう、しっかり支援する必要がある。
現在、未成年の18、19歳は仮に悪徳商法に引っ掛かったり、セールストークにつられて高額な商品の契約をしても、親の同意がなければその契約を取り消すことができる。これが未成年者取消権だが、成人になると使えない。
しかし、18、19歳が契約について正確な判断をすることはなかなか難しい。そのため政府は、消費者契約法を改正し若年者を守る制度を導入済みだ。例えば「この講座を受けないと君の将来は開けないよ」などと言って若年者の不安感をあおったり、また、恋愛感情など人間関係を悪用して結んだ契約は取り消せることになっている。
しかし大事なことは、被害の救済よりも「賢明な消費者」として悪徳商法を見抜く力を養うことだ。ここに消費者教育の意義がある。
18歳成人に向けた環境整備を担う関係府省庁連絡会議に先月提出された18歳成人の浸透度調査(調査は3月実施)によると、成人が結んだ契約は「原則として取り消すことができないことを知っているか」との問いに、16~17歳の43.3%、18~19歳の49.3%が知らなかった。消費者教育が全国の高校に広がったのはようやく昨年度からで今年も継続される。さらなる成果を期待したい。
2009年に法制審議会(法相の諮問機関)は、18歳成人の意義について「若年者が将来の国づくりの中心であるという、国としての強い決意を示すことにつながり、若年者および社会にとって大きな活力をもたらすことが期待される」と述べた。
新しい日本のスタートに消費者教育も貢献してほしい。