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坂の上の団地内までバス運行
高知・安芸市
高知県安芸市が運行する市営「元気バス」の路線が6月から一部変更された。急勾配の坂道がある一ノ宮団地の高齢者に配慮して、住宅地の中まで運行するようになったもので、住民の高橋正男さん(93)は「月曜日に利用しているが、本当に助かる」と喜んでいる。
高橋さんは昨年1月に運転免許を自主返納した。年金暮らしで、車を運転しなくなった後、通院や買い物にタクシーを利用するのは料金が高い。高台にある同団地近くの道沿いにはバス停があるが、団地の登り口から住宅地の中までは、約100メートルの坂道を徒歩で上り下りしなければならなかった。
「買い物の荷物を持って坂を上るのは特に大変。住宅地の中までバスが運行してくれたら助かるのに」。こうした声をキャッチした公明党の米田佐代子市議の橋渡しで、住民の署名簿を添えた要望書が市長に提出された。米田市議も昨年6月定例会で悩める声を代弁。高齢化が進む中、運転免許を返納して困る住民は今後も増えることなどを踏まえ、団地内にバスが止まるように対応を求めた。
こうした動きを受けて市は、利用状況を把握するための住民アンケートや3カ月間の実証運行を行った上で、今回の路線変更を決定。月曜と金曜の朝と午後に往復1便ずつ、団地内を運行することになった。
市総務課では「運行ダイヤを大幅に改正することなく、住民の利便性が向上した」と、その効果を強調。米田市議は、「一人の声から地域住民の要望に応えることができて本当に良かった」と語り、高橋さんと共に喜んでいた。