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コラム「北斗七星」
リアス海岸の曲がりくねった峠道を抜けると、家々の白い壁と黒いスレート屋根が、海のコバルトブルーと美しいコントラストを描く。宮城県女川町の竹浦北地区の街並みの光景である◆東日本大震災の大津波で壊滅的な被害に遭い、高台移転を余儀なくされた同地区。住民は「海から眺めた風景を思い描き、景観に配慮した集落を」と話し合った。県建築士会の協力も得て、2年かけて地区独自の景観ルールを決めたという◆まちづくりには、宮城県石巻工業高校建築科の生徒も貢献した。集会所の設計に携わったほか、再建する自宅のイメージを住民へ伝えるために、一軒一軒、精密な模型も作成。完成後は、高齢者宅に手すりを設置するボランティアも行った◆当時、高校生の指導にあたったのは同校建築科の畠山弘幸科長。震災後に「建築の経験を生かしたい」と希望して同校へ赴任した。その思いが伝わるかのように同科には「建築で、郷土の復興の役に立ちたい」と入学する子どもたちが続く◆<「連帯と分かちあい」をもって支え合う以外に、大災害を克服することはできない>。元東日本大震災復興構想会議議長の五百旗頭真氏は『大災害の時代』につづっている。どこが被災地になるか分からない現在、わが地域の「連帯と分かちあい」を確かめておきたい。(川)