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2021年8月9日

【主張】多文化共生 アイヌの歴史へも理解深めたい

国籍や民族などが異なる人たちが互いの文化の違いを認め合いながら、共に生きる「多文化共生」社会の実現は、東京五輪の開催を通じてめざすべき理念の一つだ。

世界中から集ったアスリートが、さまざまな競技で熱戦を繰り広げながらも互いを尊重する姿は、多文化共生の一つの形である。一方、東京五輪で、日本の先住民族であるアイヌの文化を世界に向けて発信したことも、多文化共生社会の実現に向けた取り組みとして非常に重要だ。

札幌市で競歩とマラソンが行われた5日から8日の競技前に、東京五輪の公式プログラムとして、アイヌ古式舞踊パフォーマンスを実施。約80人のアイヌの人たちが出演し、見事な踊りや歌を披露した。今後も、アイヌの歴史や文化への理解を一層深めていく努力を続けたい。

アイヌは、北海道や青森県の北部、樺太や千島列島などに先住し、日本人とは異なる文化を持ち、アイヌ特有の言語であるアイヌ語を話す。

ところが、北海道開拓が本格化した明治時代の1899年に制定された「北海道旧土人保護法」により、アイヌの人たちを日本人として同化する政策を実施。伝統的なアイヌ文化の風習は禁じられ、日本語の習得が勧められた。

先住民族の権利保護に向けた取り組みを進めるため、国連は1994年に8月9日を「世界の先住民の国際デー」に設定。2007年には「先住民族の権利に関する国連宣言」を採択した。この国際的な潮流を契機に、日本では、19年4月にアイヌを初めて「先住民族」と明記した「アイヌ民族支援法」が成立。同法に基づき、20年7月に、北海道白老町にアイヌ文化の発信拠点「民族共生象徴空間」(ウポポイ)が開業した。

これにより、アイヌへの理解は広まっている。政府が昨年11月から12月にかけて行った世論調査では、アイヌが先住民族だと「知っている」と答えた人は、初めて9割を超えた。しかし、明治時代にアイヌの文化が奪われた事実を知る人は4割にとどまる。アイヌの人たちが尊厳を持って生活できる社会を実現するためにも“負の歴史”とも真剣に向き合い、アイヌの文化を尊重していくことが必要だ。

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