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【主張】介護人材の不足 処遇改善が最重要の対策だ
高齢人口がほぼピークになる2040年度時点で、介護職員の必要数が約280万人に上るとの推計を厚生労働省が発表した。
40年度の推計は初めてで、19年度時点の職員数である約211万人と単純に比較すると、約69万人もの不足となる。介護現場の人材難が一段と深刻化するとの見通しに、改めて危機感を抱かざるを得ない。
今回の推計によると、2年後の23年度には約22万人、25年度には約32万人不足する。介護人材の確保は既に厳しい状況にあるとの認識を強くし、対策を強化しなければならない。
何より重要なのは、介護に携わる職員の処遇改善を進めることだ。
業務内容の大変さに比べて報酬が低いとして、介護現場では離職率が高く、担い手が定着できていない。より待遇のいい職種を求めて人材が流出してしまう事情もある。
人材確保へ政府も手を打っている。
09年度から約10年間で給与を月額平均7.5万円程度積み増すなどしてきた。それでも他の業種とはなお開きがあり、一層の報酬アップを検討する必要がある。
他業種からの受け入れ支援策も強化している。
今年度からは転職する人を対象に最大20万円の支援金を貸し付け、2年間働き続ければ返済が免除される新規事業を創設した。
昨年には、即戦力を呼び戻すことを狙い、介護現場を離れた経験者らが復帰する際に、同様の返済免除制度がある貸付金を最大40万円に拡充した。
実施主体であるハローワークや都道府県社会福祉協議会での広報活動を充実し、人材確保につなげたい。
このほか政府は、介護報酬の引き上げによる事業者への経営支援に力を入れ、介護ロボットやICT(情報通信技術)の積極的な活用による業務の負担軽減と効率化を補助金などで後押ししている。
少子化の進行による労働人口の減少を踏まえ、外国人材の受け入れも積極的に進めるべきだ。
あらゆる政策を総動員し、介護需要の増大に対応を急ぎたい。