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2021年7月28日

解説ワイド

経済産業省が21日に公表した国の政策指針となる「エネルギー基本計画」の改定案と、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が16日に田村憲久厚労相に答申した2021年度の最低賃金の目安について、それぞれのポイントを解説する。

「エネルギー基本計画」改定案
再エネの主力電源化を徹底
構成比「36~38%」へ大幅引き上げ

「エネルギー基本計画」の改定案には、温室効果ガスの排出削減に向け、太陽光など再生可能エネルギー(再エネ)の比率引き上げなどが盛り込まれた。新たな計画は有識者による議論や国民の意見を踏まえ、9月の閣議決定をめざす。

同計画は、電力や資源について政府の中長期的な方針を示すもので、3年に1回程度の頻度で改定され、現行計画は18年7月に閣議決定された。今年11月までに国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開かれる予定で、その前に新計画を策定する必要がある。

脱炭素を重要政策に掲げる菅義偉首相は4月、30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する新たな目標を発表しており、その実現をめざすことが改定案の柱となっている。

具体的には、再エネについて「主力電源化を徹底し、最優先で取り組む」と明記。30年度の電源構成を見直し、再エネの比率を現行計画の22~24%から、36~38%まで引き上げる。これは、19年度実績の2倍程度(約18%)に当たる野心的な目標値だ。

再エネ導入拡大の切り札として期待される洋上風力発電は、本格的に導入されるのが30年度以降と見込まれるため、今回の改定案では即効性の高い太陽光発電を軸に普及を進めるとした。

再エネが火力などより優先的に送電線を利用できるようルールも見直す。

また、温室効果ガスの排出削減へ、火力発電の比率を41%(現行計画では56%)まで大幅に引き下げる。石炭火力は発電量が不安定な再エネ拡大を進めるための「調整電源」と位置付けた。燃焼時に温室効果ガスを出さないアンモニア、水素による火力発電の技術開発も進め、再エネとは別枠で1%の導入をめざす。

可能な限り原発依存度を減らす

「エネルギー基本計画」改定案のポイント

改定案では原子力の扱いも焦点となった。発電所の新増設や建て替えは明記しなかったが、「可能な限り依存度を低減する」「必要な規模を持続的に活用していく」とし、原子力の電源構成比率は現行計画(20~22%)を維持した。

改定案で示された新たな目標については課題も少なくない【表参照】。

例えば、太陽光発電の普及について、国土の7割を山地が占める日本では、大規模太陽光の適地が少なくなりつつあるのが現状だ。政府は荒廃農地への太陽光パネル設置などで数値の上積みをめざすが、詳しい検討が必要とされる。

原子力に関する目標も、達成には30基程度の原発の再稼働が必要だが、東京電力福島第1原発事故後に再稼働したのは10基にとどまる。原発に対する国民からの信頼回復も含め、道筋を示す必要がある。ほかにも、再エネの固定価格買い取り制度で利用者の負担増が懸念されている。

気候変動対策について公明党は、20年1月の衆参代表質問で「50年を視野に温室効果ガス排出の実質ゼロ」などを提言。同年9月の自公政権合意にも公明党の主張で、気候変動対策への取り組み加速化などが盛り込まれ、菅政権で注力されることになった。

今年の4月には、公明党の地球温暖化対策推進本部が菅首相に脱炭素化に関する中間提言を提出。30年の再エネ比率を大幅に引き上げるなど再エネの主力電源化の早期実現を主張した。

こうした取り組みを受け、今回の改定案は「わが党が提言してきた趣旨に沿ってまとめられつつある」(竹内譲政務調査会長)ものとなっている。

最低賃金の引き上げ
過去最大「28円」増を答申
中小企業の負担軽減策が必要

中央最低賃金審議会が16日に答申した内容は、21年度の最低賃金の目安を全国一律で28円(3.1%)引き上げるというものだ。28円という金額は、19年度の27円を上回る過去最大の上げ幅で、全国平均の時給は930円となる。

そもそも最低賃金は、アルバイトなど非正規も含めた労働者に支払われる最低限の時給で、違反すると雇用者に罰金が科される。

中央の審議会が毎年度、各地の経済状況などを踏まえ、都道府県をA~Dランクに分け目安額を提示。これを受け、都道府県ごとの審議会は例年、8月までに引き上げ額を決め、10月ごろに改定する。目安通りに引き上げられた場合、島根や鳥取、沖縄など最も低い県でも820円になり、全都道府県で初めて800円を超える。既に東京の審議会は21日、国の目安通り28円引き上げ、全国最高額となる時給1041円とするよう東京労働局長に答申した。

近年、最低賃金は着実に上昇しており、特に16年度以降については、コロナ禍の影響を考慮し目安を示さなかった20年度を除き、24~27円の大幅な引き上げが続いていた。民需主導で早期の景気回復を図るためには、最低賃金の引き上げが欠かせない。さらに、コロナ禍により大幅な収入減に見舞われた人も多く、確実な引き上げは働き手を支えるためにも重要だ。

特に今回、「28円」に踏み切った背景には、感染対策の切り札であるワクチン接種が各地で加速しているのに加え、世界や日本の経済が回復基調にあるなど、昨年度とは環境が異なる事情が大きい。

また、6月に閣議決定された経済財政運営の基本指針「骨太の方針」には、最低賃金額の目標として「より早期に1000円」をめざすと明記されている。

一方、中央の審議会では、経営者側から「事業の存続と雇用維持を最優先すべき」などとして、最低賃金の引き上げに反対する意見が出された。最低賃金が上昇すると人件費などコストが増加し、経営を圧迫する懸念があるからだ。中でも経営体力の弱い中小企業ほど負担は大きい。

そこで、政府は21日の経済財政諮問会議で、10月からの最低賃金の引き上げに向け、コロナ禍で業績の厳しい中小企業の負担軽減策を議論。企業が従業員に払う休業手当の一部を支給する「雇用調整助成金」(雇調金)について、厚労省は助成率引き上げの特例措置を12月末まで延長する案を示した。賃上げと設備投資を同時に行う企業を支援する「業務改善助成金」の支給上限額も増額する方針だ。

公明、政府に緊急提言

中小企業への影響緩和について加藤官房長官(中央右)に緊急要望する竹内政調会長(左隣)ら=13日 首相官邸

中小企業への経営支援を巡っては、公明党の竹内譲政務調査会長らが13日、首相官邸で加藤勝信官房長官に対し、中小企業への影響緩和を求める緊急提言を手渡した。提言では、積極的に賃上げを行う事業者を支援するため、経営転換を支える「事業再構築補助金」や、「ものづくり補助金」など生産性革命推進事業に特別枠を設け、優先的に支援するよう要請。雇調金の助成率引き上げも訴えていた。

山口那津男代表は15日、「働く現場、中小企業の経営にプラスに作用するよう党のネットワークを生かして取り組んでいきたい」との考えを示している。

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