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【主張】改正漁業法 「成長産業化」へ万全の運用を
70年ぶりの本格改正である。日本の水産業再生に向けた起点としたい。
水産業の成長産業化をめざす改正漁業法が8日、参院本会議で可決、成立した。
旧態依然の漁業権制度を見直し、経営の合理化を図るほか、乱獲防止のための資源管理も強化する。公布後、2年以内に施行する予定だ。
長く世界をリードしてきた日本の水産業の衰退は著しく、漁獲量は今や、ピークだった1984年の1282万トンから430万トン(2017年)にまで落ち込んでいる。
かつて200万人以上いた漁業者も15万人に激減し、うち9割強が零細な個人経営者で占める。しかも、その半数が60歳以上。深刻化する後継者不足が漁村の疲弊につながっていることは周知の通りだ。
こうした事態を思えば、国会審議中、一部野党が唱えた「漁村切り捨て」「漁業者無視」などの主張がいかに的外れだったかが分かる。水産業の抜本改革は「待ったなし」であることを、まず確認しておきたい。
改正法の眼目は、都道府県が沿岸漁業や養殖の漁業権を付与する際に、地元の漁協や漁業者を優先してきた規定を廃止したことだ。
これにより、有効活用されていない漁場や養殖への企業参入が進み、経営の合理化などを通した「競争力ある水産業」への脱皮が期待できる。
資源管理については、漁獲上限を定める漁獲可能量制度の対象となる魚種を増やすとともに、漁船ごとに漁獲枠を割り当てる制度も導入する。早い者勝ちとばかりに乱獲競争する意味はなくなり、結果的に資源回復と漁業の持続可能性を高めることになろう。
もっともこれらの改革で、新規参入する企業が目先の利益追求のみに走ったり、地元の零細漁業者が締め出されたりするようなことがあっては本末転倒だ。
政府は、引き続き現場の声によく耳を傾け、改正法の趣旨を存分に生かす運用に万全を期さねばならない。
とともに、資金力があり、経営のノウハウも知る企業と、豊かな経験に裏付けられた漁法の知恵を持つ漁業者も、互いに持ち味を発揮しながら協力し、日本全体の水産業の底上げをめざしてほしい。









