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コラム「北斗七星」
「麻畑馬上見渡す限りかな」(高濱虚子)。稲作よりも早くから栽培され、暮らしに根づいていた麻畑の風景。大麻草は成熟した茎から丈夫な繊維が採れるため、衣類の原料や祭事などに用いられてきた◆一方で、大麻草にはテトラヒドロカンナビノール(THC)という有害な成分が含まれる。その摂取により記憶障害や知覚の変容、パニック発作、認知機能障害などを引き起こす。戦後、日本では大麻取締法により無免許での栽培や所持などが禁止に◆今般、大麻事犯の検挙人員が7年連続で増加し、過去最多の5260人(20年、厚生労働省)を記録。このうち10代を含む30歳未満が占める割合は66.7%に及ぶ。このほか最初に乱用した薬物は年齢層が下がるにつれて大麻である割合が高くなる調査(「犯罪白書(令和2年版)―薬物犯罪―」)も◆全国的に夏休みシーズンを迎えた。若年層における大麻乱用が急増する背景に、インターネットやSNSの普及による入手の容易化や、「大麻に有害性はない」「大麻は健康によい」など、誤った情報の広がりも一因と見られる◆大麻は薬物乱用の「入り口」という意味で「ゲートウェイ・ドラッグ」とも。気が緩みがちな時期。“好奇心”“興味本位”に流されないよう正しい知識から乱用防止を呼び掛けていきたい。(照)