ニュース
コラム「北斗七星」
本紙に連載中の久間十義氏の小説『復活』がいよいよ大詰めだ。IT企業を立ち上げ、才覚を尽くして発展させた主人公が、部下たちの裏切りに遭い、フィリピン出張中に命を狙われる。九死に一生を得たものの、刑務所に捕らわれ、7年もの間、辛酸の日々を送る。その主人公が日本に舞い戻り、復讐を果たしていくのが今の場面だ◆これまで時代小説が続いた本紙では久々の現代物。生き馬の目を抜くビジネス世界の攻防から、一転してフィリピンの刑務所での生活、宗教・民族紛争の緊迫した現実など、ダイナミックに物語が展開。読者からも「毎日、はらはらして目が離せない」といった感想が寄せられている◆終盤、日本の病院を舞台にした場面では、新型コロナウイルス感染者の治療をめぐって、医療現場の苦悩と葛藤が活写された。東京などではコロナ感染者が再び増加しているが、医療現場の逼迫は、何としても避けなければならないとの思いを強くさせる◆開会が6日後に迫った東京五輪は、大半の競技が無観客での開催となったが、東京に緊急事態宣言が発令される中で、安全・安心を確保し、開催の意義をとどめられるよう、政府や関係機関の一層の努力が求められるところだ◆さて、連載小説もどんな結末が待ち受けているのか、楽しみに見届けたい。(千)