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【主張】ワクチンの供給 正確な情報発信し混乱避けよ
新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めるため、担い手である自治体を混乱させてはならない。
国から希望量のワクチン供給を受けられず、接種予約の停止・制限に追い込まれる自治体が相次いでいる。先週の共同通信のまとめによると、少なくとも67市区町に上る。自治体の接種速度が上がり、供給が追い付かなくなっているためだ。
現在、市区町村で使う米ファイザー製ワクチンの1日当たりの接種回数は、全国で約140万回と短期間で急増している。
一方、輸入量は4~6月が約5000万人(約1億回)分に対し、7~9月は約3500万人分と3割減少する。これに伴い自治体への供給も減り、先行きの不透明感が広がっている。
接種速度が上がったのは、国の要請を受けた自治体が接種会場や打ち手の確保に懸命に努力してきたからだ。ワクチンの供給量について自治体の希望に応えられないのは、政府の予測が甘かったと言わざるを得ない。
国は自治体に配送済みで、まだ使用されていない「市中在庫」が約2350万人分あると見込んでいる。
ただ、ワクチンの在庫を管理する国のワクチン接種記録システム(VRS)は、自治体による入力の遅れが目立ち、一部で接種実績の反映に時間のずれが生じている。政府は、正確で速やかな入力を促して在庫状況を的確に把握し、円滑な供給につなげてもらいたい。
政府は13日、一定量の在庫があると見なした自治体には、人口に応じた配分量から1割減らし、減らした分を都道府県の裁量で分配できる「調整枠」として、ワクチンが不足している自治体に分配することを明らかにした。市区町村の接種状況に応じて都道府県が供給量を微調整できるようにするものだ。
こうした取り組みが効果を上げるには、国が都道府県との連携を強める必要がある。
公明党の推進により、希望者全員に行き渡る量のワクチン供給契約が実現している。
政府はワクチンの供給見通しを含め、自治体や国民に対する情報発信に一層努めてほしい。